天鼓 [Tenko] の呼びかけによって実現した、日本を拠点に (ニューヨークのモリイクエ [Ikue Mori] を除く) 即興音楽の文脈でも活動する女性ミュージシャンを集めたフェスティバルです。 参加したのは15名。1970年代末から活動するパイオニア的な存在である 天鼓、モリイクエ から、 1980年代初頭頃に活動を始めた世代のミュージシャンが多いものの、2010年代以降の若い世代も参加してしています。 そのバックグラウンドも、ジャズやアンダーグラウンドなロック (ポストパンク/アヴァンロック)、邦楽、若い世代のエレクトロニカ/アンビエントなど、多様です。 これまでにライブを観たことがあるミュージシャンは数人。広く聴く良い機会かと、足を運んでみました。 15名を3人ずつ5組に分け、それぞれ約30分の即興演奏、 トリは 天鼓 と モリイクエ の短めのデュオ、そして、最後に12名によるフィナーレ、という構成でした。 間はセット替えの約15分と3,4組目の間の40分程の休憩があり、約5時間のライブでした。
最初の2組は繊細な音使い多いの展開でしたが、3組目以降はラウドな音出しによるパワフルな演奏が繰り広げられました。 ラウドな音といっても、使われる楽器の違いもあって、そのニュアンスは様々、 ロック色濃い3組目から5組次第にジャズ/インプロ色濃くなっていくように感じられました。 最近、大きな音のライブに足を運ばなくなっていたので、久々に音圧を浴びることができました。 しかし、やはり最初の2組の方が楽しめたでしょうか。 特に、2組目、ヴィブラフォン (高良久美子) とヴァイオリン (向島ゆり子) だけでは淡々と抽象的になり過ぎそうな所に、 両手にモーションセンサーを付けての身振り付きのエレクトロニクス (妖精マリチェル) が加わった点が、良い変化というかアクセントになっていて、楽しめました。 天鼓 と モリイクエ のデュオは流石に音圧無しでも鋭さのある演奏。 ほぼ全員が舞台に上がったフィナーレは、祝祭的に盛り上がりました。
正直に言えば、昼に別の公演を観た後の、晩の5時間は気力・体力的に厳しいものがありましたが、なんとかラストまで完走できました。 一度に多くのミュージシャンを観て個々の演奏の印象が薄まってしまった感はありましたが、多様性を窺い知ることはできたでしょうか。