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Review: La La La Human Steps, Amjad @ 彩の国さいたま芸術劇場 (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2008/07/06
彩の国さいたま芸術劇場
2008/07/05, 18:00-19:40
Artistic Direction and Choreographer: Édouard Lock.
Dancers: Andrea Boardman, Xuan Cheng, Talia Evtushenko, Mistaya Hemingway, Keir Knight, Bernard Martin, Dominic Santia, Jason Shipley-Holmes, Zofia Tujaka.
Elisabeth Giroux (cello), Jill Van Gee (violin), Jennifer Thiessen (viola), unknown (piano).
Premier: 2007/04.

カナダ・ケベック州モントリオール (Montréal, Québec, Canada) のダンスカンパニー La La La Human Steps の新作は、 Пётр Ильич Чайковский (Pyotr Ilyich Tchaikovsky) によるロマン主義なバレエ Лебединое Озеро (aka Swan Lake, 『白鳥の湖』; 1877) と Спящая Красавица (aka Sleeping Beauty, 『眠れる森の美女』; 1890) に取り組んだものだ。 といっても、La La La Human Steps らしいダークでミニマルな高速バレエだった。

ほとんど黒く塗られた暗い舞台上、 ダンサーの身体を最低限浮かびあがらせる程度のライトの中で ダンスを繰り広げた。 そのダンスは、La La La Human Steps の特徴とも言える 機械的とも感じるキレのいい高速なバレエだ。 といっても、早回し的に動いているのではない。音楽も普通の速さだ。 時間的にも身体のパーツ的にもミニマルに速い動きをすることにより、 キレの良い速さの印象を作り出している、といった方が良いだろう。 題材として有名なバレエを使い、ミニマルな演出をしたことにより、 高速でミニマルな動きが際だったようにも感じられた。

前回2004年の来日公演の Amelia の時の ゴスのようなイメージはほとんど感じられず、 映像や舞台美術もほとんど用いなかった。 確かに、オープニング、エンディングをはじめ、数回、 円形のスクリーン3枚を使ったビデオ映像の投影も使われたし、 時折、舞台両脇に黒く昆虫が抽象的に描かれた白い垂れ幕がかけられた時もあった。 しかし、こういった演出の必然が感じられなかったというより、 それら抜きでひたすらミニマルにやった方が 徹底していて面白かったのではないか、とすら思った。

音楽使いも含めてそんなミニマルな演出の最も良い面が出たように感じられたのは、 作品の中盤か後半にかかった頃。 電子的なノイズの脈動の向こうに 微かに Swan Lake のモチーフらしきものが聴こえる中で 男女のペアが淡々と高速に踊り、 そこから piano 4tet の生演奏が沸き上がり violin と viola が舞台両袖全方に出てきてテンション高く演奏をする中、 ペアの踊りの速さとキレも増すかのような所だった。