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Review: Mark Rothko 『瞑想する絵画』 @ 川村記念美術館 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2009/05/24
Mark Rothko
瞑想する絵画
川村記念美術館
2009/02/21-06/07 (月休;05/04開;05/07休), 09:30-17:00.

Mark Rothko は、20世紀半ばに活動したアメリカ (US) の画家だ。 第二次世界大戦直後の抽象表現主義 (Abstract Expressionism) の一潮流、 平坦で広い色面を特徴とする抽象絵画 Color Field painting の作風で知られる。 今回 Rothko の展覧会を開催している川村記念美術館は、 常設の Rothko Room を持ち、1995年に Rothko の回顧展を開催した、 Rothko とは縁が深い美術館だ。

1958年に竣工したニューヨーク (New York, NY, US) の シーグラムビル (Seagram Building) のレストラン The Four Seasons の壁を飾る壁画を Rothko は委嘱され、 後に Seagram Murals (『シーグラム壁画』) と呼ばれる 一連の作品を1958年から1959年にかけて30点制作している。 結局、レストランの雰囲気が気に入らなかった Rothko は委嘱を断り、 制作した連作は、現在は、ロンドン (London, UK) の Late Modern、日本の川村記念美術館、 ワシントンDC (Washington DC, USA) の National Gallery of Art の三カ所に 分かれて展示されている。 今回の展覧会のメインは、川村記念美術館の7点、Tate からの3点、National Gallery からの5点を 併せた15点を一挙に合わせて展示しているところだ。 これだけ一度に集まるのはめったに無い機会だ。

Seagram Murals は、濃い赤茶色に塗った大きなキャンバスに、 鈍い朱色や逆により暗い茶色で、ぼんやりとした輪郭の枠を描いたもの。 展示は少々変則的で、少々暗い自然光のキャラリーの壁の四面にびっちり間を詰め、 そんな15枚数の絵が見上げるような位置に展示されていた。 暗い中でコントラストが低く輪郭も不明確な絵をぼーっと眺めるという鑑賞スタイルもあると思うが、 James Turrell の光のインスタレーション [関連レビュー] の暗闇の中ぼんやり浮かび上がってくる光を描くと このようになるのかもしれない、と、観ながら思ったりもした。

展示のレアさへの感慨という意味では Seagram Murals だが、 作品の面白さという点では、1964年の「黒い絵」9点のうち4点を並べた部屋が楽しめた。 黒地に輪郭がはっきりした黒い四角を大きく描いた作品だ。 といっても、ばっと観は単に真っ黒なキャンバスで、よく見ると、 微妙な色合いやテクスチャの違いで、黒い四角が見えるというものだ。 印刷や液晶ディスプレイでは再現できない生ならではの微妙さというのもあるが、 その微妙さに逆にじっと観るように促されるような所が、面白かった。

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