蛍光灯の発する電磁ノイズを変換して音にする楽器 Optron で知られる 伊東 篤宏 の live installation & performance シリーズ ”Silent Emission” の第一弾だ。 原宿 Vacant 一周年企画 “Wrong Dance Right Steps“ の一プログラムでもある。 照明を消して暗い状態で Vacant の2階のスペースに客入れした後、 奥左手、Optron や各種デバイスの揃えた席に 伊東 が座り、パフォーマンスが始った。 まず、Optron はもちろん、壁に設置された扇風機を改造したサウンドオブジェから音を出し、 入口側の壁に設置された赤緑青の蛍光灯を点滅させて、音と光によるソロ・パフォーマンス。 続いて、奥右手の機材が置かれた席に Miclo Diet [MySpace] が座り、electronic なビートを加えてもう暫く。 最後に、白のビニール・ランジェリー姿の Momo [MySpace] がフロア中央、白い布を敷いた花道様のスペースに登場。 伊東 の音と光のパフォーマンスと合わせ、 白い布の帯を花道上に張り、水鉄砲でブラックライトでオレンジに光る蛍光塗料を壁や花道に振りまいたり、 小さな蛍光灯を付けたフルフェース・ヘルメットを被ったり、といったパフォーマンスをした。 Momo のパフォーマンスの後、再び伊東のソロとなって、約1時間のパフォーマンスを終えた。
照明を落としているとはいえスペースの明るさと、蛍光塗料の光の弱さもあってか、 Momo の蛍光塗料を振りまくパフォーマンスもさほど印象強いものにはならなかった。 そんなこともあってか、一時間であっさり終わってしまったという印象は否めない。 けれども、暗闇の中で Optron の音を聴いていて、 いつのまにか Optron の音も変わっていることに気付かされた。 初めて Optron を聴いたとき [レビュー] は FMのノイズのようなザーザーいうのっぺりテクスチャー状の音だった印象が強いのだが、 今回はもっと微妙なニュアンスが乗るような音に聴こえ、 音の出し方の幅が広くなっているように感じた。 特に、最後のソロのときの静か目の繊細な音が良かった。 そんなことに気付かされたことが、今回のパフォーマンスを観ての収穫だった。