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Review: Céleste Boursier-Mougenot in 『フレンチ・ウィンドウ展 —— デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線』 @ 森美術館 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2011/05/02
Céleste Boursier-Mougenot
in 『フレンチ・ウィンドウ展 —— デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線』
森美術館
2011/03/18-07/03. 10:00-22:00 (火10:00-17:00).

1994年設立のフランスの個人美術コレクター団体 ADIAF (Association pour la Diffusion Internationale de l'Art Français) が2000年に始めた Le Prix Marcel Duchamp (マルセル・デュシャン賞) の 受賞作家、最終選考作家 27名を紹介する展覧会。 展覧会全体は雑多な印象でしたが、 去年、Barbican Art Gallery での展覧会をしていた Céleste Boursier-Mougenot [関連発言] のドキュメンタリー・ビデオを観ることができました。

上映されていたのは From Hear To Ear の 2002年のインスタレーションのドキュメンタリー・ビデオ。 zebra finch (キンカチョウ) を使っているという点は去年の作品と同じですが、 既製の楽器 (electric guitar) ではなく、自作のオブジェというかインスタレーションを用いていました。 それは、高さ10m以上あろう吹き抜けの空間に多数の針金ハンガーを組み合わせて粗な網目状の構造を作ったもの。 そこに放たれた zebra finch たちは、時折、針金にとまったり飛び立ったりして、構造を微かに揺らします。 その揺れを吊り下げの箇所等に付けたピックアップで拾って、アンプを通してその響きを鳴らしていました。 その音色は electric guitar にも近いものとはいえ、音の輪郭が不明瞭な響き。 このインスタレーションでは必ずしも electric guitar を使うとは限らないんだな、と。 この2002年の作品も、針金ハンガーを使った空間インスタレーションという点でも良さそうに思えました。

しかし、ビデオによるドキュメンタリーではなく、生で観てみたいものです。 日本での本格的な展覧会が実現して欲しいものです。

以下、関連する談話室発言の抜粋。

[2584] 嶋田 丈裕 <tfj(at)kt.rim.or.jp>
- 若林, 東京, Tue Mar 2 23:33:08 2010

The Guardian の記事から気になった展覧会情報。

フランスの美術作家 Céleste Boursier-Mougenot が ロンドンの Barbican Art Gallery で個展を開いています [展覧会情報]。 その展覧会を紹介する記事 “Bird on an electric guitar string: Finch music has Barbican aflutter” (The Guardian, 2010-02-26) によると、Gibson のエレクトリック・ギターとシンバルを40羽の キンカチョウ [ja.wikipedia.org] に演奏させるというインスタレーションです。 この展覧会のプロモーションとして、Barbican Center が YouTube に動画を載せています: Céleste Boursier-Mougenot at Barbican Centre, London。 エレクトリック・ギターの音、もっと軽いものを想像していたのですが、 ヘビーなディストーションをかけたものだったんですね。キンカチョウの可愛い姿と不釣り合いな音で、面白いです。 Barbican のページ では、 “It turns out these birds can rock – one even goes all Jimmy Page with a twig” なんて言葉が紹介されてます。Led Zeppelin ですか (w 「小鳥たちが演奏するインスタレーション、仏アーティスト」 (2010-02-28) と、AFPBB News も写真15枚を配信しています。ギターの上で目白押し!! この作品、日本にも来ないかなー。生で観てみたいものです。 実際は臭いとか糞とか大変そうな気もしますが……。

イギリスの音楽雑誌 The WireIssue 313 (March 2010) の Cross Platform ページでも Céleste Boursier-Mougenot が取り上げられていました。 確かに、いかにも The Wire 誌が好みそうなインスタレーションです。 [2010/03/07追記]

Céleste Boursier-Mougenot を知ったのは、去年の夏、 フランス・ロワール川沿いで隔年開催されているアート・フェスティバル Estuaire Nante <> Saint-Nazaire のサイトをチェックしていて。 出展作家の中で最も興味を惹かれたのが Céleste Boursier-Mougenot だったのでした。 ちなみに、このフェスティバルには、 Ernesto Neto も参加していました。 日本人作家で参加していたのは、西野 達、川俣 正、丸山 欣也。 このフェスティバルについても、 「仏ロワール川沿いに展開する現代アート展」 (2010-08-03) と、AFPBB News が写真5枚配信していました。 妻有にも似た自然の多い中でののんびりした雰囲気が感じられる写真で、楽しそうだなあ、と。