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Review: タムラサトル 『Aマシーン』 (Satoru Tamura: "A" Machine) @ Takuro Someya Contemporary Art, Tokyo (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2011/06/19
Satoru Tamura: "A" Machine
Takuro Someya Contemporary Art, Tokyo
2011/05/28-2011/06/25 (日月祝休). 12:00-19:00.

タムラサトルの都内での久々の個展は、 去年に小山で観た「小山マシーン」 [レビュー] のバリエーション5作が出品されていた。 新鮮さは無かったけれども、異なる空間で観ることでニヤリとさせられる所に気付いたりもした。

うち3作は「小山マシーン」と同じ高さ約2.5mの鉄骨枠の機械作品で、 チェーンと歯車で描かれている文字が「小山」ではなくラテン文字アルファベット「A」「B」「Z」。 この極力恣意性を排除するかのような文字選びが、彼らしいかもしれない。 仮名で「いろは」とかでも面白かったかもしれないけれども、 曲線が多いのでチェーンと歯車で描くのは難しいかもしれない。 車屋美術館で観たときは気付かなかったのだが、静かなギャラリーで間近で見ていて、 機械油でぎっとり光ったチエーンが回りながらにるにると小さな音を立てていることに気付いた。 そして、その音にフェティッシュな面白みを感じた。 それが、改めて観ての収穫だろうか。

残り2作はコレクター向けの小品といった所か。 高さ30cm程の作品は星形を、高さ数十cmの作品はハート形を描いていた。 ハートの上半分など歯車の円をそのまま生かせるという点でこの作品向けのフォルムだとは思った。 しかし、ハート形とか星形とか、無骨な機械とミスマッチに可愛らしいとされる図形をあえて選んだのだろうかとも思った。