小野寺 修二 のカンパニーデラシネラによる 「『劇場』ではない場所での空間の持つ特性を生かした作品作りを試みる新シリーズ」である デラシネラβの第一弾は、シェークスピア『ロミオとジュリエット』を原作とする作品もの。
マイムやダンス的な動きだけで見せるのではなく、セリフを多用したもので、 普通の演劇にかなり近付いたという印象を受けた。 一番の理由はセリフを多用していただけでなく、悲劇的な恋物語ということもあってか、 ストレートにではないものの心理描写をそれなりにしているように感じたことだろうか。 その一方で、水と油 以来得意としていたマイム的な表現で空間を繋げたり切ったりするような表現や バズルのように動きを組み合わせるような表現が控えめになったようにも感じた。 正面が無い観客の距離が近い空間では使い辛いということもあるのかもしれない。 同じく有名な作品を原作に持ってきた カンパニーデラシネラ『異邦人』 [レビュー] が良かっただけに、期待も大きく、観て不完全燃焼を感じたのも確かだ。
会場は廃校となった中学校の教室をリノベーションした空間。 確かに雛壇状の観客席も一面に設けられていたが、それ以外の壁際等にも観客を座らせ、 正面を特に作らず部屋の中央でパフォーマンスした。 手足を伸ばせば触れそうな程の近さパフォーマンスを観ることになり、 空気の動きや息づかいを感じるような所は楽しむことができた。 観客をパフォーマンスに参加させる所なども、この近さならではだろう。 しかし、パフォーマーと観客の近さならではといえば、 手のひらに乗るくらいの小さな模型や玩具を小道具として使っていた所。 あと、帯状の布を巻き取るように動かしてその上でミニチュアの人形等を動かす アンティーク玩具のようなものを使っていたことが、印象に残った。 客弄りも小物を使ったパフォーマンスも今回の作品ではあまり効果的とは感じなかったが、 今後慣れてくると面白くなるかもしれない、とも感じた。