1927-37 年に Le Corbusier のアトリエで活動し、 1940年代と1950年代に日本に滞在して活動したインテリア・デザイナー Charlotte Perriand の回顧展。 Le Corbisiers のアトリエでの彼女の仕事などにも触れられていたが、焦点が当たっていたのは「et Japon」の所で、 Le Corbusier のアトリエで同僚だった 坂倉 準三 や民藝運動の推進者たちの交流、日本での展覧会に関する資料も多くありました。 モダニズム的な面については若干肩透かしな展示でしたが (Le Corbusier の建築におけるキッチン回りのデザインの考え方などもっと掘り下げて欲しかった)、 Le Corbusier、Pierre Jeanneret と共同でデザインした スチールパイプ製の長椅子 LC4 Chaise Longue (1928) を 1940年代に日本に滞在した時に竹製で制作し直した Chaise Longue (1940) など、興味深い展示もありました。 1950年代の再来日時のデザイン (たとえば成形合板製の椅子 Ombre (1955)) の方が洗練されていますが、 1940年代の荒削りなデザインの方が試行錯誤的な面白さがあるようにも感じました。
この展覧会は神奈川県立近代美術館 開館60周年として企画されたもの。 その割には地味な企画だと思っていましたが、 神奈川県立近代美術館 鎌倉 の建築を手掛けた 坂倉 準三 と縁が深かった人と考えれば、なるほどと。
ウィーン分離派 (Wiener Secession) の中から生まれた20世紀初頭に活動した ウィーン工房 (Wiener Werkstätte) の展覧会。 Art Deco の先駆を思わせるミニマムなデザインという印象が強かったのですが、 それは、Josef Hoffmann や Koloman Moser が活躍した第一次大戦前の前期のもの。 Art Deco と同時代となる戦間期にはモード部門がメインになって装飾的になった、 ということに、この展覧会に気付かされました。 デザインの好みは圧倒的に前者ですが、そんな時代に逆行しているような感が興味深く感じられました。
パナソニック電工 汐留ミュージアム といえば、去年の 『バウハウス・テイスト バウハウス・キッチン』 [レビュー] が、非常に充実していたので少々期待したのですが、さすがにそれ程ではありませんでした。 『バウハウス・テイスト バウハウス・キッチン』での Oskar Schlemmer 邸 (1926) のキッチンの1/1再現のように、 ウィーン工房 (Wiener Werkstätte) がデザインを手掛けた 文芸カバレット Kabarett Feldermaus (1907) の一部の1/1再現、 とか期待したかったところですが……。