フランス・パリを拠点に舞台美術・展覧会会場構成等をてがけてきたという Philippe Quesne が設立したカンパニー Vivarium Studio の作品。 そういうバックグラウンドとタイトルから、どんな舞台美術・特殊効果で見せてくるのだろう、と 期待したのだけれども、良くも悪くもそれを裏切る、脱力するようなユーモアを感じる作品だった。
舞台は Serge の家の一室で卓球台とガラクタ様のものしか無い生活感の無い部屋。 そこに、知人友人を招いて約1分間の特殊効果ショーを行う様子を淡々と描くメタ演劇だ。 その特殊効果ショーは舞台で使われているようなテクニックがベースにあるのだが、 その道具立ては安っぽいか、完成度低い手作り風のもので、 その効果も実際に舞台を一変させるというよりも、 特殊効果っぽいことをしようとしているのだろうという意図が読み取れる程度のもの。 むしろ、特殊効果ショーの微妙なショボさと ショーに付き合わされた知人友人と Serge の間のなんとも言い難い空気を、 静かなユーモアで描くような作品だった。
そういうユーモアは好きだし、メタ演劇という枠組みもあって 特殊効果を舞台上の約束事として明らかにしてしまうような批評的な面も無いわけではない。 けれども、去年、 Jérôme Bel: The Show Must Go On を 観たときに感じたような、 制度的な面にコンシャスであること自体が自己目的化しているかのような 空虚な感がしたのも確か。そこが物足りなく感じた舞台でもあった。
ちなみに、この公演は2012年度 TPAM (国際舞台芸術ミーティング) の海外ショーケースの一つとして上演された。