2007年の『目黒の新進作家 —— 七人の作家、7つの表現』 [レビュー] から4年ぶりとなる、1970年代生まれの作家をメインとした区内在住作家の展覧会。 作風やコンセプトに一貫性がある展覧会ではありませんが、 最近はマメに画廊巡りもできていないので、こういうショーケース的な展覧会もありがたいもの。 というわけで、中で特に気になった作品について。
青山 悟 + 平石 博一 『Death Song』 (2012) は、 青山 悟 の刺繍とビデオ、そして、平石 博一 によるサウンドからなるインスタレーション作品。 暗いギャラリー空間の中、スポットライトで浮かび上がる 19世紀の “Death Song” (死別の歌) とこの作品のために作曲された “Death Song” の楽譜の刺繍が、 その刺繍をビデオの投影を挟んで対置されていました。 その空間構成とミニマルな空間サウンドがかなりスタイリッシュに感じるインスタレーションでした。 刺繍とビデオとサウンドは19世紀の労働問題というコンセプトで繋がれているのですが、 インスタレーションの構成がコンセプトを説明するではなく、 むしろ、スタイリッシュな構成を裏から支える構造のようになっている所が良いなあ、と。 実は、2010年にギャラリーαMであった 青山 悟 の展覧会を観たときいまいちピンとこなくて [twitter]、 刺繍という技法を使ったマニエリズム的な作風の作家なのかな、と、なんとなく想像していたのですが、 そうでもなかったのだなあ、と。 ギャラリーαMの展示ももっと丁寧に読み込んでいれば、また違った印象だったのかもしれません。 というか、今回の作品では、鍵となるピースではあるものの刺繍を前面に押し出さずに、 ビデオとサウンドによるミニマリスティックなインスタレーションにしていたのが、良かったのかもしれません。
この展覧会は、会場内の写真撮影が条件付きで可能となっていました。 撮影条件に三脚不可というのはよくあるのですが、 写真の利用条件をクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで示しているのを見たのは、初めて。 こういう使い方も面白いなあ、と。