1990年代後半からベルリン (Berlin, DE) を拠点に活動する現代美術作家 塩田 千春 の個展。 今までの展覧会で観た展覧会よりも生々しさが薄らぎ、スッキリした印象が意外な展覧会だった。
天井にはゴムひもで粗く編んだ半ばほどけかけたような網状のものがゆるく下げられ、 床には細く黒く塗られた金属棒材で縁取るように人の身体を象った像が横たわっている。 胸にあたる所からは、何かが弾けたものの軌跡のように、金属棒が放射状に据えられていた。 sホワイトキューブの空間に黒い線状のもので描いたかのように置かれた造形は、 生々しいというより抽象的で、コンピュータで描いたモデルのようにすら感じられた。 今までの彼女の作品では、泥などで汚れたような所に生々しさを感じていたのだが、 それがすっかり逆転したかのようにも感じられた。
あと、横たわる像はおそらく性別を意識させないよう意図されていたようにも思うのだが、 腰のラインが女性的と感じてしまった。 そして、全体的に抽象的なだけに、そういう点に妙な引っかかりを感じたようにも思う。
ちなみに、塩田 千春 は、現在、 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で大規模な個展 『私たちの行方』 (7/1まで) だ。 ケンジタキでの個展もどちらともいえず微妙な感じで、行くかどうか悩ましい……。