Robert Wilson とコラボレーションを続けた日本舞踊の舞踊家にして コンテンポラリー・ダンスの振付家で、2010年に亡くなった 花柳 寿々紫 [Suzushi Hanayagi] のドキュメンタリー。 David Byrne によるブラス・アンサンブルの曲も美しい The Knee Plays [レビュー] を振付たということで、その名は知っていました。 しかし、どのようなバックグラウンドを持つ人で、どの程度の寄与があったのか知らなかったこともあり、 非常に勉強になった映画でした。

20代で日本舞踊・花柳流の名取となった後、新たな可能性を求めて1960年代にニューヨークに渡り、 Judson Memorial Church を拠点とする Postmodern dance 運動に関わっていました。 出産のために日本に帰った後の十年余については映画ではほとんど触れられませんでしたが、 1984年の The Knee Plays において Robert Wilson とのコラボレーターとして再びコンテンポラリーな舞台作品の世界に戻り、 以降、1999年まで14作で Wilson とのコラボレーションを続けていたという。 様式化されて抽象化されたような Wilson の舞台での人の動きへの 花柳 寿々紫 の寄与の大きさを、この映画で気付かされました。

花柳 寿々紫 の日本舞踊での動きとコンテンポラリーでの動きの対比や、 Robert Wilson の作品の様子の映像も、もちろん興味深かったのですが、 1998年の渋谷ジァン・ジァンでのパフォーマンスの映像があり、 その時に気付いていたら観に行っていたのに、と、悔しく思ったり。 また、Judson Memorial Church 時代に 花柳 寿々紫 と親しかった Carla Blank が提供した Judson Memorial Church 関連の映像が沢山使われていて、 当時の様子が証言だけでなく映像で伺えたのも、ありがたかった。

ちなみに、今回 (9/29) 観た映画上映は、 ダンストリエンナーレトーキョー2012の ダンスフィルムのプログラム (会場 シアター・イメージフォーラム) の1つでした。