マグレブを除くアラブ圏の現代美術のショーケース。 英 The Guardian 紙の文化欄を読んでいても、最近アラブ圏が取り上げられていることが多くなっているので、 まとめて観るいい機会だろうと、足を運んでみた。 以前に観た『チャロー! インディア —— インド美術の新時代』 [レビュー] にも似た印象で、21世紀に入って大きく変化する社会を 平面や立体としてコンセプチャルに表現するような作品が中心。 オリエンタリズム的なアラブの表象を批判するような作品もあったが、 それも含めてパターン化されている感もあって、 こういうのが21世紀の現代美術市場で流行っているんだろうなあ、と。

そんな中にも、それなりに興味深く観られた作品もあった。 イラク出身で欧米で活動している Maha Mustafa の原油か汚水を思わせる噴水 “Black Fountain” (2011) は、そのミニマルさが良かった。 やはりイラク出身の Jananne Al-Ani の ヨルダンの砂漠地帯を空撮したビデオ作品 “Shadow Site I” (2010) も、 砂漠のテクスチャの中に時々廃墟のような形が出てくる所が、抽象的なアニメーションのよう。 しかし、ビデオよりも写真作品かそのスライドショーの方が、 その抽象性が際立って面白くなんったかもしれない、とも思ったけれども。