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Review: Batsheva Dance Company: Sadeh21 @ 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2012/11/25
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2012/11/23, 15:00-16:30.
by Ohad Naharin in collaboration with Batsheva Dance Company dancers, 2010/2011 season.
Performed by Stephanie Amurao, William Barry, Shachar Binyamini, Matan David, Omri Drumlevich, Bret Easterling, Iyar Elezra, Shani Garfinkel, Chen-Wei Lee, Ia'ara Moses, Ori Moshe Ofri, Shamel Pitts, Oscar Ramos, Nitzan Ressler, Ian Robinson, Maayan Sheinfeld, Adi Zlatin.

Batsheva は1964年設立のイスラエル・テルアビブ (Tel Aviv, Israel) のダンス・カンパニー。 前に観た MAX では力強い群舞が印象に残ったが [レビュー]、 今回はソロの場面も多く、力強いだけでなく、静かな展開のとメリハリを感じる作品だった。

タイトルの Sadeh とは「場」という意味で、 Sadeh1から順に緩やかに場を区切るように進んでいく (途中、大きく番号を飛ばしたが)。 バレエ的な無重力感というより体操を思わせるがっつり力強い踊りは相変わらず。 しかし、最初の Sadeh1 では顔見せのように一人一人順に出てソロを見せ、 続いてデュオ、そして3〜4人と人数が増えていくのだが、 動きを揃えてというよりも緩く関連付けられた程度。 そして、大人数でバラバラに見えるように踊るのも迫力があった。 ソロなどの個の踊りが目立っていたのも、 ダンサーたちとコラボレーションして制作された作品ならでは、なのかもしれない。

しかし、印象に残った場面はやはり集団的なダンス。 舞台やや下手で一人一人数を増やしながら静かに手を取り輪になって歩く脇でのダンスの脇での デュオもしくはソロのダンスや、 横たわり足をばたつかせている1人の女性ダンサーの脇での、 男性ダンサーたちの動きを合わせての群舞。 こんな場面が象徴的だったと思うのだが、展開としても静かなそろと動的な群舞のメリハリがあり、 集団的な振る舞いと孤独・孤立を対比して際立たせて見せているように感じられた。

現在のパレスチナ、特にガザ情勢を反映して、 イスラエルのカンパニーである Batsheva は特に欧米の公演において抗議運動に直面している: “Batsheva Dance Company braces for Gaza protests in London” (The Guardian, 2012-11-19)。 イスラエルの国家的な文化政策に乗って活動している以上、故無いわけではないが、 その一方、Ohad Naharin はパレスチナの人々への共感を公に表明しており、 その抗議運動について、Naharin は 「自分たち (抗議運動をする人たち) の主張を注目させるためのシンボルとして我々は利用されているように感じる」 とも言っている。 イスラエル側そしてそれに抗議する側の間で 芸術 (Batsheva) の利用をめぐる綱引きが行われているとも言える状況だ。