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Review: Inbal Pinto & Avshalom Pollak Dance Company: Bombyx Mori (Japan special version) with Rushes @ 世田谷パブリックシアター (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2012/11/25
Bombyx Mori (Japan special version) with Rushes
世田谷パブリックシアター
2012/11/23, 19:30-21:30.
Rushes
Choreography, Direction, Costume & Set Design: Inbal Pinto & Avshalom Pollak. Collaboration with Barnett and Pilobolus Dance Company.
Performers: Talia Beck, Avidan Ben Giat, Zvi Fishzon, Lazaro Godoy, Noga Harmelin, Tamar Hoenig, Andrea Martini, Rosalind Noctor, Yossi Pollak, Annie Rigney, Stav Struz, Tom Weksler.
Bombyx Mori
Choreography, Direction, Costume & Set Design: Inbal Pinto & Avshalom Pollak.
Performers: Talia Beck, Avidan Ben Giat, Zvi Fishzon, Lazaro Godoy, Noga Harmelin, Tamar Hoenig, Andrea Martini, Rosalind Noctor, Annie Rigney, Stav Struz, Tom Weksler.

Inbal Pinto & Avshalom Pollak Dance Company は1992年に設立された イスラエル・テルアビブ (Tel Aviv, Israel) のダンス・カンパニー。 今まで何回も来日しているが、機会が合わず、観るのは今回が初めて。 今回の公演では、最初に Rushes、 続いて日本バージョンの Bombyx Mori と、2作品を上演した。

振付・演出の一人 Inbal Pinto は Batsheva Batsheva [関連レビュー] に在籍していたことがあり、ダンサーの中にも Batsheva 出身者がいたが、 身体能力の片鱗を感じさせる時もあったが、抽象的な演出でそれを見せ付けるような作品ではない。 むしろ、俳優というバックグラウンドを持つ Avshalom Pollak の資質もあってか、 シュールで特にはコメディ的ですらある。 操り人形 (Rushes) や クロスボディの人形 (Bombyx Mori) のような 不自然に動かされるような動きや、 椅子 (Rushes) や ゴム紐 (Bombyx Mori) といった物に発想した動きが 面白い作品だった。

特に気に入ったのは、Rushes での 操り糸が弛んだかのように背を丸めてちょこまかと歩き回る女性2人組。 前半は中央で格闘技ともつかないパフォーマンスを繰り広げる男性パフォーマーの回りを 小間使いのように動き回っていた。 そして、足に滑り易いストッキングを履いての後半、一人は男性パフォーマーたちとスケートのように滑り踊る一方、 もう一人は独りでツルツルと足を取られて立つのもままならないよう。 しかし、最後には椅子の上の男性によじ登って、安定というか安らぎ得たかのように終る。 Rushes は、そんな2人の対比が印象に残る作品だった。

Bombyx Mori でも、女性ダンサーの扱いが印象に残った。 この作品の舞台は抽象的なドールハウスのようであり、 人形のクロスボディのような着ぐるみを着た女性ダンサーが3人登場した。 そのうち1人は、青い衣装を着た人間的な動きをする女性ダンサー3人に動かされ踊るうちに、 着ぐるみが脱げ、人形から人間になった。 少しずつ皆が人形から人間となる物語なのだろうかと観ていたのだが、 残りの2人は最後までクロスボティ着ぐるみのままだった。 紐で壁に縫い付けられたようになったり、紐に振り回されるように動いたり。 乱暴に人形を扱うような残酷さを微かに感じた作品だった。