ブラジルの現代美術作家 Ernesto Neto [関連レビュー] によるインスタレーション。 内臓などの生物の一器官を思わせるような形状を作りだし、 その中に入って包まれるような感覚を楽しむというところは相変わらず。
しかし、今回のインスタレーションは床の上でまったりするのではなく、空中に吊るされたオブジェの中に入って行く。 その足場はしっかりしたものではなく、Neto らしく、中空の薄いプラスチックボールをネットに詰めたもの。 足を踏み込むと変形して沈むので、かなり歩き辛い。そんな不安定な空中を歩く感覚は今までの Neto の作品には無かったかもしれない。
また、強度のためもあると思うが、バウダービーズをストッキング生地に詰めたようなものではなく、 中空の薄いプラスチックボールを粗いネットに詰めて形を作っている。 そのため、ソフトな質感というより、歩いたり横になったりしていても、ちょっとガサガサした感じだ。 そんなこともあって、ソフトなコクーンに包まれてまったりというよりも、 最もカジュアルで簡単な類のフィールドアスレチックのようにも感じてしまった。 そして、そんな感覚も楽しんだインスタレーションだった。
展示空間はガラス張りで、昼は外光の入り屋外のような明るさだった。 それも良かったと思うが、夜に表参道の夜景を背景にこの作品を楽しむのも良いかもしれない。