Zimmermann & de Perrot は 主に contemporary circus / physical theatre の文脈で活動する スイス・チューリヒ (Zürich, CH) の演出・振付家チーム。 London International Mime Festival などでもお馴染みだ [関連発言]。 そんな彼らが2009年にジブラルタルの向かい、モロッコ・タンジール (Tanger, MA) にレジデントして アクロバット・グループと作り上げた Chouf Ouchouf の ワールド・ツアー最終公演を観てきた。
出演するアクロバット・グループは女性2名を含む12名。 高さ4m幅8mはあろう岩のような壁のの前で、 組立体操的なフォーメーションやタンブリングでその身体能力を見せ付けるかのような顔見せ。 その導入でぐっと舞台に引き込まれた。
オープニングの時の背の高い壁は幅奥行き1m弱のユニット5つの組合わせで出来ており、 その合い向かう2面は扉のように開閉するようになっている。 以降は、それを自在に移動させ、組合わせを変えて、空間を変容させていく。 その箱の陰に、そして箱の中にアクロバットのパフォーマーが姿が見え隠れする様子は、 路地の入り組んだ迷路のようなマグレブ地方 (モロッコを含む北アフリカ西部) の メディナ (medina, 旧市街) へ彷徨い込んで、そこで行われている生活の断片を垣間みているよう。 派手なオーブニング以外はむしろ高い身体能力ながら淡々と展開していくのだが、 そんな変化する空間と見え隠れする身体を追っていくだけでも飽きなかった。
そんな雰囲気をより強めているのが音楽だ。 オープニングこそ録音のダンス音楽を使ったけれども、以降、むしろ彼ら自身が歌う歌が印象的。 それは、chaâbi (マグレブのアラブ系の歌謡) かその元となったより民謡的なものを思わせるもので (chaåbi の有名な曲 “Ya Rayah” に似ているように聞こえた)、 無伴奏、もしくは、banjo のみの伴奏で詠唱していた。 oud ではなく banjo を使うあたりも chaâbi らしいし、 その独特の節回しと声色もマグレブの雰囲気を作り出していた。
観る前までは、正直に言えば、技がアクロバットだけでは飽きるかもしれないと思っていたのだけど、 そんな視覚と聴覚に訴える舞台で、1時間余もあっというまの舞台だった。