1984年設立のイギリス・シェフィールドを拠点に活動する劇団 Forced Entertainment による2012年作品。 The Guardian 紙で Lyn Gardner がこの劇団について どちらかといえば好意的に言及 しているのを目にしていたので、どんなものかという興味で観に行った。 語ることに関するメタ演劇で、メタ演劇ならではの退屈さがあったが、 舞台の見た目や音楽使いに好みの所があったおかげで、最後まで飽きずに観ることができた。
男女3人ずつの6人がそれぞれ自分の過去に関する話、それも多分に作り話を語っていく。 それも秩序立ってではなく、過去に関する語りへの批判も込めて、 時にマイクを奪い合い、時にドラムやピアノの演奏で妨害し、 時に被り物を被ったり、勝手に意味不明な踊りを踊ったりしていく。 その語の内容で笑いを取るときもあったが、むしろ人を食ったようなナンセンスで緩い立ち振る舞いが失笑を誘うよう。
人の丈程の枝を何本も持って立たされたり、上半身裸にグロテスクなマスクを被ってふらふらと踊り歩いたり。白い布をかぶって幽霊の踊りを踊ったり。 そんな舞台上の見た目が、現代美術によくある日常的な物を緩く並べたコンセプチャルなインスタレーションのよう。 人を食ったような所など Pierre Huyghe の作品を連想した。 また、ドラムや中心に演奏されるミニマルにロック的な演奏に俳優の語りが被さると、 post-punk な詩人 Anne Clark や Mark E. Smith (The Fall) も連想させられた。 そんな点に救われて、しょうもないと思いつつも、最後まで楽しむことができた。