20世紀後半、特に1950年代に影響力を持ったポーランドで活動したグラフィック・デザイナー Henryk Tomaszewski の回顧展。 この頃の東欧のポスターの全体的な傾向でもあるけれども、 手書きの文字や不安定な線で描かれたイラストレーションなど、 どちらかといえばモダニズムというよりシュルレアリズムの表現の系譜に連なるもの。 とはいえ、1970年前後のチェコのポスターの展覧会 『チェコの映画ポスター』 (東京国立近代美術館フィルムセンター展示室) [レビュー] を観た直後のせいか、それらと比べると。 彩度の高いシンプルな色使いや、描き込みの少ない単純化された形象など、 1950年代らしいミッドセンチュリーなデザインに感じられる。 『チェコの映画ポスター』と併せて、 時代によるデザインの潮流は「鉄のカーテン」を容易に越えるものだったのかもしれない、 なんてことを思った展覧会だった。