今年に入って、戦前日本映画、特に松竹映画にはまっているわけですが、 その同時代のものということで、「東京・昭和モダン」をテーマに美術館・博物館巡り。
戦前は主にアマチュア写真家として活動し、戦後は写真雑誌編集者として、 そして、1960年代末に『プロヴォーク』界隈で再評価され、写真家として活動再開した 桑原 甲子雄。 1930年代の写真は、写っている東京の路地や街並、人々の雰囲気を含めて、良いなあ、と。 日劇や浅草六区の賑わい、階段を登る洋装の男女、「情熱工場」なるカフェーの看板、など。 可愛らしい少女や、まだ珍しかった洋装の女性を巧くアクセントに捉えたり。 傾いた路地スナップとか、プロヴォークの人たちが再評価するのも納得です。 しかし、今回初見のものが多かった戦後の写真はあまりピンとこなかったので、 写真のスタイルより戦間期昭和モダンな雰囲気が好きなのかもしれません。
2000年前後に戦前の写真の展覧会を観た記憶があったのですが、 調べてみると、『東京・昭和モダン』 (東京ステーションギャラリー, 1995) のようです。 20年も前のことだったのだなあ、と。 『ライカと東京』 (東京都写真美術館, 2001) は観た記憶がありませんし……。
20世紀初頭、1900年代から10年代にかけて、森 鴎外が生きている間に上演に至った 12の創作及び翻訳の戯曲を、当時の上演時の資料と合わせて展示した展覧会です。 近代演劇との関係で 森 鴎外 を見たことが無かったので、 新劇はもちろん歌舞伎や新派にも戯曲を提供していたのだなあ、と、勉強になりました。 しかし、最近の自分の興味からすると、小山内 薫 や 上山 草人 との親交に、 日本映画前夜の動きというか先駆とも言えるものだったのだろうなあ、と感慨深いものがありました。
日比谷にある東京宝塚劇場の開場80年を記念した展覧会。 戦前の資料を期待したのですが、やはり数が少なく、少々残念。 そんな中で、目に止まったのは、 『春から秋へ』 [レビュー] の 楳茂都 陸平 演出の『流線美』 (1935)。 飛行機の翼の生えた帽子も意外とスマートに決まっていて、どんな舞台だったのか気になりました。 こういう資料がもっとあったらなあ、と。 むしろ、関連して通路に展示されていた 『発掘された写真と映像から探る1930年代のヒビヤ・モダン』 の写真の、 銀ブラする宝塚女優の様子などに興味を引かれました。 去年11月には映像の上映もあったようで、見逃し痛恨。