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Review: Compagnie Philippe Genty: Ne m'oublie pas @ PARCO劇場 (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2014/10/19
Ne m'oublie pas
PARCO劇場
2014/10/18 18:00-19:45
Direction artistique: Philippe Genty; Direction chorégraphique: Mary Underwood
Musique: René Aubry
Avec les jeunes acteurs sortis du Nord-Trøndelag University College de Verdal: Ánne Mággá Wigelius, Annie Dahr Nygaard, Morten Anda Berg, Lena Kvitvik, Henrik Hoff Vaagen, Benedikte Karine Sandberg, Sjur Marqvardsen, Maja Bekken, Stine Fevik.
Création 1992 – Recréation 2012.

去年に続いて来日したフランスの Compagnie Philippe Genty の公演は、 ノルウェーの Nord-Trøndelag University College の学生たちと2012年に再制作した Ne m'oublie pas。 去年観た Voyageurs Immobiles [レビュー] ほどマジック的なトリックは使わず。 その一方で、ダンサーと生き写しのような等身大の人形をほぼ通して使っていた。

終演後のトークで約15kgあるといっていた人形だが、 それを片手で支えつつ、もう一方の手や足を使って、一緒に踊っているように見せるだけでなく、 ときには大きく放り投げたりもする。 人形であると判らない程、というわけには流石にいかないが、 ダンサーの動きもあってそれと遜色の無い、重さを感じさせない動きを楽しめた。

しかし、最も印象に残ったのは、中折れする1m×2の棒に10m近くあろう布の帯をつけ、 棒の両端を持って、ダンサーが旋回するように踊る場面。 布の帯が空気を孕んで渦巻き、まさに「蛇の舞」だ。 女性のダンサーによる優雅な動きも美しかったし、の渦巻く布から姿を消したり姿を表す男性ダンサーも不穏な雰囲気。 そしてついに入れ替わって終わるという。 似たような動きに、女性ダンサーが大きなトリの羽のようなものを腕に付けて踊るというものも。 Ne m'oublie pas が今年1月の London International Mime Festival に出たとき、 この場面の写真がサイトに使われていたのだが、やはり、写真映えする美しい場面だった。

明確なストーリーは無いのだが、イメージのシュールレアリスティックな連想で展開するのとも違い、 今回はむしろ、雪国というテーマを持ってその様々なイメージを見せていくという感じだった。 この雪国というイメージが最初に作った1992年の時からあったものなのか、 ノルウェーの学生たちとの再制作にあたって持ち込んだものなのか判断しかねるが。 このイメージでどうしてこの題名が付いたのか、結局、良くわからなかった。

Philippe Genty の舞台はダンサーの個性が強く出るものではないが、 2012年の制作時はまだ大学生という若いダンサーということもあってか、 (演技が拙いとか幼稚という意味ではなく) 特にコミカルな場面など女性ダンサーはもちろん男性ダンサーもちょっと可愛らしく感じられた。 そんな所も楽しんだ舞台だった。