TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: Howard Hawks (dir): Paid to Love (『雲晴れて愛は輝く』) (映画)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2014/11/08

東京国立近代美術館フィルムセンターの特集上映 『MoMA ニューヨーク近代美術館 映画コレクション』のプログラムで ピアノ生伴奏付きサイレント映画上映を観てきました。

Paid to Love
1927 / Fox (USA) / 74 min / 白黒 (一部染色) / サイレント / 35mm.
Director: Howard Hawks
Cast: George O'Brien (Crown Prince Michael), Virginia Valli (Dolores), J. Farrell MacDonald (Peter Roberts), William Powell (Prince Eric), Thomas Jefferson (King), etc

ハリウッドの監督 Howard Hawkes の初期のサイレント映画。 地中海の弱小貧乏王国の王が、銀行から融資を得るために、 自動車に熱中している皇太子に女性への興味を持たせるべく、パリの酒場で観光客相手の芝居をしてる女性を雇ったが、 嵐をきっかけにお互いそうと知らずに本当に恋に落ちてしまう。 そんなことで始まるロマンティック・コメディ。

王に威厳が感じられない好々爺で、融資の相談を受ける米国の銀行家とのコンビが、いい歳して無邪気な可愛い爺さんコンビなのが、好印象。 金で女を雇うというのも、ハッピーエンドもあって嫌味でありませんでした。 Ernst Lubitsch [レビュー] に影響受けた映画とのことですが、 人を騙して牢屋行きにさせても気にしないような不道徳な感が無く、 ロマンチックで可笑しい後味の良い娯楽映画でした。

また、ヒロインのお色気シーンも多め。 嵐で立ち往生してずぶ濡れて皇太子の家に倒れ込んだ場面での、全裸でシーツに包まる場面とか、 皇太子の従兄弟がいると知らずに、部屋で着替えをしてしまう場面とか。 当時の日本映画の露出度を比べてみても、かなりのものだったのでしょう。

10年前であれば、サイレント映画を観るといっても、アヴァンギャルド/モダニズム色濃いものばかり観ていて、 このようなロマンティック・コメディは守備範囲外。 しかし、今年に入って戦前松竹メロドラマとか観るようになって、完全に守備範囲になってしまいました。こういう娯楽映画も良いものです。