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Review: Film Treasures from The Museum of Modern Art: Andy Warhol Program 『MoMA ニューヨーク近代美術館 映画コレクション––アンディ・ウォーホル プログラム』 (映画)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2014/11/08

東京国立近代美術館フィルムセンターの特集上映 『MoMA ニューヨーク近代美術館 映画コレクション』の このプログラムを観てきました。

Film Treasures from The Museum of Modern Art: Andy Warhol Program
『MoMA ニューヨーク近代美術館 映画コレクション––アンディ・ウォーホル プログラム』
Four of Andy Warhol's Most Beautiful Women 『スクリーンテスト アンディ・ウォーホルの最も美しい女性たち(4人版)』 (1969-1970, 16mim., 16mm, silent, B+W)
The Velvet Underground and Nico 『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』 (1966, 66min., 16mm, B+W)

Four of Andy Warhol's Most Beautiful Women は Screentest シリーズの1つで、スーパースター「候補」の女性の顔を固定カメラで撮ったもの。 New Order の “Round And Round” (1989) のミュージックビデオ (Film Director: Paula Greiff) [関連レビュー] の元ネタとして知っていたものの、ちゃんと観るのは初めて。 New Order のビデオでのモデルは首を傾げたり視線を変えたりと動くのだが。 Andy Warhol の映画ではモデルがほとんど動かない作品だったことに気付かされた。 特に2人目は瞬きもしない。次第に涙を流し出したのは、瞬きしなかったせいか、内的な理由か。

The Velvet Underground and Nico は、 The Velvet Underground & Nico の (おそらく Andy Warhol のスタジオでの演奏の様子を捕らえた映画。 演奏は有名な歌を歌うものではなく、ひたすら単調なセッション的な演奏が続く。 Nico もタンブリンを叩き続けるばかり。あと、何故の演奏している所に幼い男の子が床に座っていて、 Nico に渡されたマラカスを演奏に合わせて振ったり。 カメラは1台のみでほぼノーカットで、 最初のうちは Nico のバストアップを中心に静かなカメラワークで淡々と捕らえるが、 次第とピンボケ、速い振り、ズームのインアウトの繰り返しなどが加わっていく。 最後は、警官に踏み込まれたかで、なんとく演奏が終わる。 警官や、Andy Warhol とそのスタッフ、The Velvet Underground のメンバー達が立話したり後片付けしたりする様子が、 遠目の傍観者かのような曖昧な映像でひとしきり捉えて、映画は終わる。 実験的映像というより、40年早かった Vincent Moon の “A Take Away Show” [レビュー] のよう。

今から観ても実験的で凄いという程ではなかったが、後のポピュラー音楽での映像表現の原点を観るよう。 その影響の大きさを実感することができて、勉強になった。