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Review: Benjamin Millepied L. A. Dance Project @ 彩の国さいたま芸術劇場 (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2014/11/09
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2014/11/08 15:00-16:30
Dancers: Charlie Hodges (rehearsal director), Stephanie Amurao, Anthony Bryant, Aaron Carr, Randy Castillo, Julia Eichten, Morgan Lugo, Nathan B. Makolandra, Rachelle Rafailesdes.
Benjamin Millepied (choreography): Reflections (premier: 2013).
Music: David Lang, This was written by hand / memory pieces (selection); Visual Installation & Costume Design: Barbara Kruger.
Emmanuel Gat (choreography): Morgan's Last Chug (premier, 2013)
Music: J. S. Bach, John Purcell, Samuel Beckett.
William Forsythe (choreography): Quintett (premier, 1993)
Music: Gavin Bryars: Jesus' Blood Never Failed Me Yet

フランス出身ながら、New York City Ballet など主にアメリカを拠点に活動するダンサー/振付家。 2011年以来住んでいるロサンジェルスを拠点に L. A. Dance Project を立ち上げる一方、 Opéra national de Paris の Directeur de la Danse (バレエ団の芸術監督) に指名され、この11月に就任している。 Millepied の作品を観るのは初めてで予備知識はあまり無かったが、Barbara Kruger の舞台美術ということもあって、足を運んでみた。

最初に演じたのは、Millepied の L. A. Project での作品 Reflections。 Barbara Kruger の美術は、背景に大きく “STAY”、床に “THINK OF ME THINKING OF YOU” と Impact に似たサンセリフ書体で赤地に白く大きく書いたもの。 途中で “GO” と書かれた背景が降りてして “STAY” を隠したりもした。 その上で、post-minimal な piano の繊細なフレーズに合わせて4人が踊って行く。 バレエのイデオムは強くないが、2人が組んで踊る際の、シンクロした動きや、 モチーフを共有しつつもカウンターを取るような違う動きを平行して見せたりする所が、とても音楽的に感じられた。 赤字に白という強烈な Kruger の背景は充分に大きいことで空間感覚を狂わせ、 灰色の作業服のような衣装のダンサーを色の中に浮き立たせていた。 コンテンポラリーダンスというと空間使いの妙を観る所もあるが、 こういう形であれば奥行き感を殺すような美術も格好良いと気付かされた。 この作品は三部作 Gems の第1作という。 三作揃った所で、まとめての公演を観てみたい。

続いて L. A. Dance Project 委嘱作品という Morgan's Last Chug。 イスラエル出身の Emanuel Gat の作品を観るのは初めて。 やはり、一見ばらばらのようでモチーフを共有して並行するように見える動きが印象に残った。 といっても、6人のダンサーが一度に動いたりするので、 Reflections のペアのように判りやすくなく、 どう動いているのかよく掴めないまま、終わってしまった。

最後の Quintett は、以前に、 William Forsythe / Ballet Frankfurt の公演で観たことがある作品 [レビュー]。 特に目立った仕掛けが無かったせいか、かなり違った印象。 全2作を比較して観て、かなりバレエのイデオムが強かったことに気付かされた。