アニュアルで開催されている現代美術やその境界領域の表現を集める企画展、 今年は狂言師の 野村 萬斎 を迎えて、身体表現や身体感覚をテーマにした作品を集めたもの。 チェルフィッチュや Dumb Type のような演劇やダンスのカンパニーが制作したインスタレーションや、 身体感覚に直接訴えかける Ernesto Neto のインスタレーション、 制作時のパフォーマンス性を意識させるような 白鬚 一雄 や 村上 三郎 の絵画から、 スポーツにおける身体の動きの視覚化した Dentsu Lab Tokyo & Rhizomatiks、 大野 一雄 や 武智 鉄二 の記録資料まで。 多面的に捉えているといえばそうだが、資料展示とするか作品展示とするか、半端な所に落ちてしまった感もあった。
最も印象に残った作品は Ernesto Neto: Hene yobe rio jiboia gente é um sopro que arravessa a gente (2014)。 は、中でまったりとくつろぐのではなく、蛇状のウォークスルーの作品。 視界の変化だけと思いきや、蛇の通路を象っている布にすっと触れる音と感覚が、ふっと風に吹かれるよう。 中を歩くと外で見ている以上に感覚的だった所が、面白かった。
ミュージックビデオから映画へと進出したフランス出身の映像作家 Michel Gondry の展覧会。 彼の映像表現を回顧するようなものではなく、 インスタレーションでかれの映像世界を体験するような展示だった。 ワークショップを伴う「ホームムービー・ファクトリー」など、 映画 Be Kind Rewind (『ぼくらのミライへ逆回転』, 2008) [レビュー] に見られるようなDIY的な映像作りに対する愛を感じる所もあったが、 映画スタジオ・テーマパークのような印象も否めなかった。