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Review: Алексей Юрьевич Герман: Трудно быть богом 『神々のたそがれ』 (映画)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2015/07/06
Трудно быть богом [Hard to Be a God]
『神々のたそがれ』
2013 / Ленфильм (Russia) / 177min / DCP / B+W.
Фильм Алексея Юрьевича Германа [a film of Alexei Yuryevich German].

ロシアのSF小説 Братья Стругацкие: Трудно быть богом [Strugatsky Bros.: Hard to Be a God] (1964) を原作に15年かけて制作したという映画です。 原作は読んだことがなく、 Алексей Герман [Alexei German] の映画を観るのも初めて。

地球から約800年歴史が遅れて進んでいる星に送り込まれた地球人の体験を描いたもので、 書物が焼かれ賢人狩りが行われるような中世的な社会を舞台としたディストピア物とでもいう話です。 女性の登場人物もないわけではないですが、男性の主人公がメインで、 ひたすら暴力的な世界が描かれるような作品でした。

が、そんな物語より、ひたすら泥濘と糞便、血糊にまみれるようなグロテスクな質感の映像を味合わされる映画です。 焦点深度がが浅くクロースアップの画面がほとんどで、その質感が強調されるよう。 周囲の状況を説明的に俯瞰するような画面がほとんど無く、さらに視界を遮る物越しの画面も多く、 その暴力的な状況の文脈が失われて、グロテスクな身体が直接的に迫ってきます。 その一方で、脱色されたかのような白黒の画面から、臭気のようなものを像させられる所はありませんでした。 そこに救われたかもしれません。

物語よりも質感を重視するあたり、 Matthew Barney の映画 [レビュー] を連想させられもしました。 といっても、Matthew Barney はこうも暴力的ではありませんが。 予告編である程度予想していたものの、少々きついものがありました。 眠くなるようなものではありませんでしたが、約3時間は長く感じました。