東京オペラシティアートギャラリーで 『鈴木理策写真展 意識の流れ』 [鑑賞メモ] を開催中の 鈴木 理策。 中でも特に良かった『水鏡』シリーズに焦点を当てた個展ということで、こちらにも足を運んだ。 東京オペラシティアートギャラリーより面白い作品が揃っていたのか、 1シリーズに絞られじっくり作品に向かい合えたということもあるのか、 このシリーズの面白さを実感できた。

このシリーズは池の水面に写った揺らぐ風景を撮ったものだが、 それ以外の要素を含めて複数のレイヤーを重ねて写し取っている。 単純なものであれば、水面に浮かぶ蓮葉と写った風景の二層。 さらに奥に岸を写し込んだ写真では、岸の上の叢、それが写り込んだ水面、水面に浮かぶ葉の三層。 手前に岸を写し込み、岸の上の地面のテクスチャ、緑の写り込んだ水面、水面から突き出るような枯れ枝の三層というパターンも。 より複雑なものでは、水面から突き出ている木を捉えた写真があって、 岸の上の地面のテクスチャ、緑の写り込んだ水面、突き出た木の幹、その光景のピンボケした緑の風景、 さらに、木の幹や枝葉が落とした水面に落とした影は水面の反射を抑えて水底の様子を見せているという。 このように何層ものイメージをコラージュして重ねたかのようなイメージを写真として捕らえている。 そんな所がとても面白いシリーズだ。