四角いアクリルの箱の中に砂を落としたり、敷き詰めた砂をフォークの背で撫でたり、 そんな時に発生する音をコンタクトマイクで拾い、 それをライブで電子的に加工し、ループさせたりして、音響空間を発生させるパフォーマンス。 併せて、そんな砂を接写で撮影したものを、やはりライブで加工してループさせ投影していました。
指先で砂を散らす時のサラサラ、漏斗で砂を落とす時のスァーッ、砂を棒て突く時のキシキシいう音、 といった微かな音が織りなす繊細な音空間から、 最後のフォークの背で撫でるときのギギギギという音が歪められた大きな音で埋められていくという展開。 映像は色調やテクスチャ感を加工する程度で、砂を接写することにより抽象画な質感を生かしていました。 白い砂の上に黒い砂を薄く引いて、下から砂を抜くことで、丸い模様を作り出した所も印象に残りました。
前半の繊細な音使いや、落ち着いた抽象的な映像は好みですし、 このようにスタイリッシュにまとめるのが作家の意図かとも思うのですが、 遊びというか意外性が足りず、こじんまりまとまとまってしまった感があり、少々残念。 音声や映像をライブで加工するパフォーマンスは、音楽やダンスの分野でも既に広く行われていますし、 何か一点突き抜けた所が欲しかったようにも感じてしまいました。
このパフォーマンスは、 去年末に観た Giulio Colangelo + Valerio de Bonis [鑑賞メモ] と同じく、 Tokyo Experimental Festival Vol. 10 の プログラムの1つ。 物音を拾っての live electronics な音弄りといい、ミニマルなビジュアルといい、このようなパフォーマンスが流行っているのでしょうか。 それとも、Tokyo Experimental Festival / Tokyo Wonder Site のディレクションということでしょうか。