ex-水と油 の 高橋 淳 (aka じゅんじゅん) のカンパニー じゅんじゅんSCIENCE の久々の東京公演。 観るのも『Triptych』 (こまばアゴラ劇場, 2012) [レビュー] 以来と、5年ぶり近い。 会場が同じで同じで、大道具・小道具の類も無し。照明と大半が電子音のみのミニマルな演出という点も相変わらずで、予想以上に変わっていなかった。 『Triptych』では報道写真に見られるような抑圧、暴力、無抵抗、悲嘆、威圧などの動作やポーズを使っていたのだが、 『街角』ではそれがさらに街を行き交う人々の様子となり、ダンス的どころかマイム的な要素もあまり感じられず、特に前半は単に歩き回っているだけのような展開が多め。 威嚇のようなどひっかかるポーズが無い分だけ、掴み所がなく退屈に感じることも多かった。 しかし、そんな中から歩き回ること自体のリズムが湧き上がってくるようで、音楽のアンサンブルのように感じるときも。 そんなときは、ミニマリスティックな演出といい、マイムというか街ゆく人々の日常的の所作で Rosas っぽいことやっているようにも感じたりもした。
しかし、舞台装置や小道具の類を用いないどころか、日常的な所作が多めのミニマリスティックな演出だからこそ、 ダンサーの身体の癖、能力が見えてきてしまうというのも、また確か。 この人は立ち姿も綺麗で幼いときからダンスを習ってきたんだろうと思わせる身のこなしだな、とか。 この人はふっと背が曲がって姿勢が悪くなることが多いな、とか。 初めて観るダンサーばかりだったが、 後半のデュオやソロを挟んでダンス的に感じる動きが多くなりはじめる頃には、既に自分の中で好き嫌いがはっきりと付いてしまう程だった。 とっかかりの少ないミニマリスティックな演出に半ば退屈したのは確かだけど、 判りやすい技や個性を表出させるような演技をさせていたわけではないのに、 歩き回っている所を見ているだけで身体の癖、能力が滲みだしてしまうものだなあ、と、 そんなとこにも気付かされたパフォーマンスだった。