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Review: 頭と口 『WHITEST』 @ KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ (サーカス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2016/11/14
KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
2016/11/06, 15:00-16:15.
作・演出・出演: ジャグリング・カンパニー 頭と口 (渡邉 尚, 山村 佑理)
舞台監督・照明: 渡川 知彦; 音楽: 山中 透; 衣装: 南野 詩恵; 道具製作: RADFACTOR.

頭と口 は2015年に結成したばかりの日本のカンパニー。 公演を観るのはこれが初めて。 この作品では、黒い矩形のスタジオ空間に、大道具等の舞台装置も使わず、映像などの投影もせず、白色光を基調とした照明と音楽のみ。 白のビーンバッグをたくさん並べ、それを並べ替え、積み上げ、かき集め、多様なイメージを作り出していた。 複数のビーンバックを片手で投げて床に等間隔に落とすなど、ビーンバックはよくコントロールされていた。 しかし、「ジャグリング・カンパニー」を名乗っているものの、分かり易いジャグリングの技は使わず。むしろ、ジャグリングだけでなくマイムやダンスのような身体表現も重要な役割を担っていた。 例えば、床に並べられた/ばらまかれたビーンバックをクライミング・ジムのホールドのように見立て、 ボルダリングするかのように床を這いまわっり、 身体の動きを使って水平方向に重力が働いているかのように見せたりしていた。

大道具も映像も使わず、照明や衣装の色彩も抑え、黒い空間と白のビーンバッグのみというミニマルな構成演出は、とても好みな舞台だった。 ながめくらしつ [レビュー] とは異なるシャープを感じる舞台で、日本のジャグリングの文脈から出てきた舞台作品にも多様性と深みが出て来ていることを実感。 それだけに、音楽使いが残念。 glitch のようなテクスチャを強調した electronica ではなく、ビート感を強調した EDM に近い音だったのだが、 床の上で繰り広げられる多様な動きのメリハリを殺すかのように、のっぺり単調に大音量で音楽流し続けていた。 淡々と移動しながらビーンバックを並べ替えていくような場面であればコンピューターゲームのように感じられ、これもありかなと思うこともあった。 しかし、床に這いつくばってうごめくような場面でこのBGMは少々興醒めだった。