ユーロスベースで開催中の トーキョーノーザンライツフェスティバル 2017 で、 映画を2本観てきました。
演劇学校の女学生 Lena の当時のフリーセックスの風潮を反映した奔放な性関係や左翼的だが素朴な政治活動を、 映画監督、そして、その相手役の男性 Börje との関係を通して描いた作品でした。 1967年の映画ということで、いかにも当時のカウンターカルチャーの時代を感じる主題と手法で、 映画を撮ること映画にしたメタムービーながら、映画内映画を撮影シーンで異化させつつも、 映画内映画の話なのか映画の話なのかそれともドキュメンタリーなのか混乱させるような作りといい、 字幕を使った異化といい、Jean-Luc Godard の映画との共通点を強く感じました。 フォロワーというほど時代が離れていないので、これも時代の雰囲気だったのでしょうか。
サイレント時代に活躍したデンマーク出身の女優 Asta Nielsen が、 ドイツへ拠点を移した後、自身の映画プロダクション Asta Films を設立して制作した映画です。 William Shakespeare の戯曲 Hamlet が原作ですが、 Edward P. Vining による Hamlet は男性のふりをした女性だという説に基づいて、 Asta Nielsen が Hamlet を演じています。
この頃の映画は、時代考証もいいかげんで、原作を大胆に改変することも少なくなかったので、 Hamlet を女性にするなどさぞぶっ飛んだ話になっているだろうと期待して観に行きました。 しかし、さほどでもなく、Hamlet が女性であること以外は原作に比較的忠実でした。 編集で物語る技法もまだまだ素朴とは思いますが、 先に観た Den sorte drøm (1911) [レビュー] に比べ洗練された作り。 修復が良いということもあるのか、Asta Nielsen の麗しい男装も楽しめました。
柳下 恵美 による伴奏で観たのは久しぶりでしょうか。 伴奏のこともサイレントであることも忘れさせてくれるような伴奏は相変わらず、さすがの安定感で良かったです。 やはり、サイレント映画はちゃんとした伴奏付きで観たいものです。
上映には Edition Filmmuseum 版の DVD が使われていたのですが、 エンドロール見ていてDVDの音楽が Michael Riessler によるものであることに気付きました。 これはこれで聴いてみたいものです。 ちなみに、サウンドトラックのCD/DLはイタリアのレーベル Cinik からリリースされています。