The New Songs は、 エチオピア出身ながらノルウェーを拠点に活動する女性歌手 Sofia Jernberg、 フランスの piano 奏者 Eve Risser、 ノルウェーの guitar 奏者 Kim Myhr [関連レビュー]、 スウェーデンの guitar 奏者 David Stackenäs の 4人の jazz/improv の文脈で活動するミュージシャンによるグループ。 今回は Eve Risser が来日せず、 ノルウエーの piano 奏者 Christian Wallumrød [関連レビュー] をゲストに加えての編成で来日した。 この晩のライブはトーキョーノーザンライツフェスティバル2017参加企画として、 第1部では映像等は使わずに、第2部ではデンマークのサイレント映画 Den sorte drøm の伴奏という形で演奏した。 第1部は40分余り、第2部は約1時間でアンコールは無かった。
Jernberg はエチオピア出身だがいわゆる Azmaris のような歌い方ではなく、 細くハイトーンな歌唱でほとんど抽象的な voicing。 残りの3人もメロディを弾くのではなく特殊奏法に live electronics も駆使して音のテクスチャを作るような演奏だった。 Jazztreffen 2016 の Monkey Plot の時のように [レビュー] サイレント映画がBGVにならないか危惧していたが、ちゃんと映画に合わせた演奏。 テクスチャ作るような piano や guitar の音も、ほぼ抽象的なままの voice も、映画に対して説明的に過ぎず、映画の理解の妨げにならず、良かった。
映画 Den sorte drøm は、女性サーカス芸人 Stella を主役とする劇映画。 Stella は、賭けに負けて大きな借金を負ってピストル自殺未遂した恋人のために、高価なネックレスを万引きする。 しかし、宝飾店主にすぐに見つかり、彼女はそれをネタに愛人となるように迫られる。 Stella は宝飾店主の家に赴くが、嫉妬にかられた恋人が追ってきて、彼女を射殺してしまうという物語。 モダニズム以前の映画スタイルで、少しパンする程度の固定カメラで撮ったロングショットのロングテイクを繋ぐもの。 モンタージュせず、遠近短縮法のような画面作りもない。 The Birth of a Nation (1915) 以前の映画の話法という点は興味深く観たが、やはりかなり単調に感じられた。 主役 Stella を演じた Asta Nielsen [関連レビュー] も見所の一つだが、ロングショットの粗い画面のため、その魅力を感じるという程では無かった。
しかし、北欧映画をメインとしたフェスティバルの参加公演にもかかわらず、アスペクト比が狂った横伸びした画面で上映。 フェスティバルの映画プログラムの1つとして参加してるのだから、映画の上映にも少しは気を使って欲しかった。