フィンランド国立バレエ団の初来日公演。 フィンランドの有名なキャラクター Moomin をフィーチャーした2015年制作のバレエ作品 Moomin and the Comet が海外メディアでも話題になっていて気になっていたところ、 初来日で世界初演となる Moomin ballet 新作第2作を持ってきました。 バレエ公演にしては手頃なチケット価格だったうえチケット争奪戦もさほどでなく、 イベントシネマでバレエづいているので、生でバレエを観る絶好の機会と足を運んでみました。
休憩を挟んで前半約1時間は『北欧バレエ・ガラ』。 特に北欧と謳うほどではないと思いましたが、有名な古典作品だけでなく現代作品を含む作品からの抜粋からなるステージ。 背景に映像を投影する程度で美術も無く、抜粋によって物語性が解体されるので、古典作品と現代作品の差異が小さくなり、 演出を楽しむというより、ダンサーの身体性、技が全面に出てくるように感じられました。 現代作品は、The Swan of Tuonela と Pathetique。 特に Pathetique は、道化のような化粧にスキンヘッド、上半身裸に白いチュチュという姿で踊る男性のソロで、古典作品と並ぶとなかなかのインパクト。 古典作品の中では、フラメンコ色濃く女性も艶やかな Don Quixote を楽しみました。 現代に舞台を移した Théâtre National de Chaillot の Don Quichotte du Trocadéro を以前に観てますが [レビュー]、 イベントシネマも活用して、古典的な演出のものもちゃんと観ておきたいものです。
後半約1時間はムーミン・バレエこと『たのしいムーミン一家 ~ムーミンと魔法使いの帽子~』。 Moomin たちメインのキャラクターの着ぐるみがかなりアニメーションでの造形に忠実なので、着ぐるみショー色濃いものを予想していました。 しかし、前半こそ着ぐるみでないのが Little My (ミィ) と Snafkin (スナフキン) だけでバレエ色が薄めでしたが、 特に後半、Magican (飛行オニ)、Black Panther (黒豹)、Ruby (ルビー) などが登場すると、ぐっとバレエらしく。 というか、メインのキャラクターの造形を生かすと踊らせづらいので、バレエを踊らせる役として脇役を活用したといったところでしょうか。 期待以上に動きにキレがあり、しかし Moomin ならではのほんわかした雰囲気も上手く表現していて、 「Moominmamma (ムーミンママ) がいいなあー」とか 「The Groke (モラン) が不気味可愛い」とか 「Little My と Snafkin が美男美女カップルでいいのか!?」などと突っ込みを入れつつ楽しんで観ることができました。