ベルギーのダンスカンパニー Rosas を主宰する Anne Teresa De Keersmaeker が Tisch School of the Arts, New York Univ. への留学から帰国した直後、 Rosas を旗揚げする直前に制作した、彼女の原点とも言える作品 Fase。 15年前に彩の国さいたま芸術劇場で Anne Teresa De Keersmaeker と Michele-Anne De Mey が踊ったのを観ているが [レビュー]、 その時の印象も薄れていたので、再見する良い機会かと、足を運んだ。
周期の異なる反復音からなる Reich の音楽を最低限の振付と演出でダンス化したかのようか作品の 面白さと美しさを再確認。 しかし、Piano Phoase の印象が強すぎたか、 Come Out などほとんど忘れていたということにも気づかされた。 また、再見ということもあるのか、観ていて、コンセプトの面白さよりもディテールに目がとまった。 Piano Phase と Violin Phase のシンプルなワンピースドレスは、 スピンのくるくる回る動きにスカートのラインが綺麗になびくように作られている。 また、ほとんど白というかモノトーンに見える2人の衣装が、わずかに色違いであったことにも気付かされた。 そんな、衣装の面白さに気付くことが出来た公演だった。
今回も Keersmaeker が4幕全て踊り通した。 前に観たときも40余歳でよく踊れるなと思いながら観ていたが、それから15年、 1960年生で60歳近い御歳であれだけ動けることに賞賛。 しかし、特に Clapping Music のような動きでは、 一緒に踊ったダンサーと並ぶと、動きの切れの無さ、精度の甘さがどうしても目についてしまう。 自分が観た公演では、Keersmaeker 髪をまとめていたピンが外れてしまい、踊りながら髪を直すというハプニングもあったりした。 いっそ Opéra national de Paris あたりの超絶身体能力のバレエ・ダンサーに技巧的にきっちり踊らせた方がコンセプトがはっきりして良いのではと思いつつ、 本人が踊っていることに対する贔屓目もあるかもしれないが、乱れも含めて作品の味わいかもしれないと思ったりもした。