インド出身で欧米でフォトジャーナリストとして活動し、2000年前後から現代美術の文脈で活動するうになった写真家/現代美術作家の展覧会。 収納部や自立のためのテーブル部も含む折り畳み式パネル状の大形木製の移動式美術館 “Museum Bhavan” の作品を中心に、 フォトジャーナリストから美術作家への転換となった1990年代の作品からほぼ最新の2016年作までを辿る展覧会でした。 インドにおける女性のセクシャルマイノリティの社会的な立場を主題とした初期の作品には、 ストレートにフォトジャーナリストに徹した方が良かったのではないかとも思いつつ、 フォーマルになっていくにつれて良くなっていくよう。 特に、最新の “Museum Bhavan” である Museum of Shedding の静物や人気の無い建築をモノクロで捉えた写真の並びか、 其々異なる様子でまだらに色あせた布の包みが並んだ Time Measures は、 フォーマルな端正さも感じられました。
今年度3期に渡って開催される平成年代の作品からなるコレクション展の第1期。 日常を捉えたような作品といっても、私的で物語を感じさせる作風から、もっと即物的で形式的なものまで。やはり、後者の方が好みでしょうか。 松江 泰治 のパンフォーカス空撮カラー写真シリーズ [レビュー] を観て、 やっぱりこういう写真が最も好みだと再確認。 また、日用品を静物画のように、しかし静物画のような陰影の無い影の少ないフラットな照明で、パンフォーカスで撮った 安村 崇 『日常らしさ』シリーズ、特に、「ホッチキス」 (1998) のアクリル画のようなノッペリした色・質感が面白かった。 パンフォーカスで絵画のように撮るというと風景写真が多いわけですが、こういう写真もありだな、と。