国際交流基金アジアセンターが2016年より実施している「メディアアート交流事業」の活動を基に、 TodaysArt JAPAN/AACTOKYO と共催とした10日間のメディアアートのイベント MeCA | Media Culture in Asia: A Transnational Platform の中から、2会場で開催されている展覧会を観てきました。 特に新しい傾向を感じたわけではないですが、エンターティンメントに近い完成度の作品を楽しむことができました。 以下、印象に残った作品について個別に。
表参道ヒルズに展示されていた 坂本龍一+高谷史郎「water state 1 」は、正方形に張った水面に、水滴による波紋や、振動による漣を発生させる作品。 背景に流れるグリッチな電子音の音楽といい、いかにもそれらしいミニマリズムの作品でした。
同じく表参道ヒルズの Guillaume Marmin & Philippe Gordiani: Timée は スモークかかった暗室中にドット状のスリットを制御して光の筋を動かすダイナミックなインスタレーション。 鑑賞者も暗室内で鑑賞するので、光の筋を浴びるように感じられるのが良いです。
Kawita Vatanajyankur: Series: Tools / Work は、2会場の両方に展示されていましたが、 様々な姿勢を取った作家自身が卵、スイカなど様々な食べ物を浴びせられる様を固定カメラで影像化した作品。 炊事などの家事を押し付けられる女性の置かれた状況に対する皮肉を読むことも可能でしょうが、 むしろ、John Wood & Paul Harrison のビデオ作品 [観賞メモ] にも近い即物的な不条理さを感じました。 ポップでミニマリスティックな不条理ビデオは、けっこう好みです。 タイの作家ですが、このような国籍を感じさせない洗練された作品も出てきているのだな、とも。
平川 紀道 「datum」は、風景を撮影した動画を、時間軸も含めて4次元とした上で、様々に回転させたもので、 時間空間で量子化されたデータの粒がダイナミックに渦巻くよう。 淡々とデータ処理して見せているわけでなく、若干ギミック入ってたと思いますが、大画面で光の粒の波に揉まれるような感覚は面白かった。