昨年は転居直後ということもあって行く余裕の無かった ふじのくに⇄せかい演劇祭。 今年はゴールデンウィーク前半、4月28,29日の一泊二日で4作品を観てきました。 まずは、28日夕方に静岡入りして、この舞台を観ました。
愛知県を活動拠点とする劇作家 北村 想 の『寿歌』 (1979) を新たに 宮城 聰 が演出したもの。 上演回数の多い戯曲とのことですが、この戯曲の上演を観るのは初めてです。 核戦争後の荒野を行く旅芸人、ゲサクとキョウコと、途中で落ち合ったヤスオの3人の オフビートな道中をユーモラスに描いた作品でした。
日が落ちて暗闇となって行く木々の緑をライティングで浮かび上がらせるような、「有度」の舞台の美しさは、相変わらず。 核戦争後の荒野を舞台としていることを考えると合っていません。 そんな部隊とは思えない緩いやりとりとのギャップがユーモアとなっているため、 演技によって荒野に見せることも難しく、なんとも微妙な状態となってしまっていました。 むしろ、発掘調査のため工事現場のようになっている駿府城公園の一角の方が良かったのではないか、と思ってしまいました。
関西弁でのやりとりは漫才的でもありますが、少々子供っぽいもの。 この子供っぽさが少々苦手に感じられたのですが、 ポストアポカリプスで少々ファンタジックなジュブナイルSFと考えると、 十代の頃に観ていたらもっと楽しめたかもしれない、とも。 そういえば、この戯曲が書かれた1970年代末はポストアポカリプスなジュブナイルSFが多くありましたし [関連する鑑賞メモ]、 少々子供っぽい笑いも含めて、そういう時代だったのかな、と思ったりもしました。