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Review: 『チャペック兄弟と子どもの世界』 Those Children Keep on Playing: Children's Themes in the Works of the Čapek Brothers @ 渋谷区立松濤美術館 (美術展/デザイン展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2018/05/27
Those Children Keep on Playing: Children's Themes in the Works of the Čapek Brothers
渋谷区立松濤美術館
2018/4/7-5/27 (月休,4/30開), 10:00-18:00 (金-20:00).

戦間期のチェコで活躍した画家/デザイナー Josef Čapek と小説家/劇作家 Karel Čapek の 子どもをテーマとした作品に焦点を当てた展覧会です。 絵画や絵本挿絵など兄 Josef の方がメインと言っていい内容でした。 Čapek Brothers の展覧会を観るのも 『チャペック兄弟とチェコ・アヴァンギャルド』 (神奈川県立近代美術館, 2002) 以来久しぶり [鑑賞メモ]。 絵本などの子どものテーマということ自体は戦間期モダンらしいとも思いましたが、 今回は戦間期アヴァンギャルド色が薄く、少々緩い展覧会に感じました。

そんな中で気になったのは、衣装・舞台デザイン画の複製が展示されてたバレエ『おもちゃ箱』 (1925)。 Claude Debussy 作曲のバレエ La Boîte à Joujoux (1913) の プラハ初演 (1925) のために Josef Čapek がデザインしたものです (オリジナルのデザインは André Hellé)。 これが女性の衣装などオリジナルよりアヴァンギャルド風味で、原色使いや造形に Oskar Schlemmer の Die Triadische Ballett (1922) の影響すら感じられるもの。 複製のみとはいえ、これを知ることが出来ただけでも収穫でした。 この Josef Čapek デザイン版のバレエの再現上演がされていたら見てみたいものです。

展覧会前半のみの展示でオリジナルを見逃してしまったのですが、 築地小劇場の『人造人間』 (Karel Čapek: R.U.R. (1920) の日本初演 (1924)) 時のポスターの複製が展示されていました。 他にも、築地小劇場での初演時と再演時の写真の展示があり、その違いも興味深いものがありました。 最近の自分の興味のせいか、子どもテーマではなく、演劇とか舞台デザインなどに焦点を当てた展覧会を観たくなってしまいました。 このような展覧会としては、2010年に早稲田大学演劇博物館で 『現実から想像へ チェコ舞台衣裳デッサン画展』 という小規模な展覧会があったのですが、当時は気付いていませんでした。見逃し痛恨。