コンテンポラリーダンスの文脈で活動するバングラディシュ系イギリス人の振付家 Akram Khan が English National Ballet の為に新たに振付たロマンチック・バレエ作品 Giselle。 評判が良くて気になっていたところ、 NHKプレミアムシアターでの放送がNHKオンデマンドに載ったので、観てみました。
移民の働く工場に舞台を置き換えたというのが話題でしたし、 飾り気無い殺伐した舞台美術はいかにも現代演出らしく好みでしたが、 このような時代設定を置き換える演出は現代演出のオペラにも良くあり、 むしろ、Patrice Chéreau 演出の Elektra [鑑賞メモ] を連想させられました。 それだけに、Bathlide や Landlord がブルジョワの経営者や投資家のような姿でなく、 むしろ18世紀の王侯貴族を思わせる衣装で出てきたのは、少々残念。 第二幕になると、舞台や時代を置き換えが活かされず、なんとも中途半端に感じられてしまいました。
カタックなどはほとんど感じさせず、ポワントを使いバレエのイデオムが強い踊りであるものの、 表現主義的というより説明的に感じる程、丁寧に物語や内面を描写するダンスでした。 第二幕の棒を使った演出などは好みでしたが、 説明的なダンスやピートを聴かせてドラマチックに盛り上げるような音楽にバシッと揃った群舞は、 コンテンポラリーダンスというよりエンタテインメントに近く感じられてしまいました。 Desh でもわかりやすい演出をしていましたし [鑑賞メモ]、 最近はこういう作風なのでしょうか。