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Review: Camille Boitel: MA étude @ 東京芸術劇場シアターイースト (サーカス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2018/10/08
Camille Boitel
MA étude
カミーユ・ボワテル 『間 エチュード』
東京芸術劇場シアターイースト
2018/09/29, 15:00-16:30.
a show by Camille Boitel.
concept and direction: Camille Boitel and Sève Bernard.
production design: Camille Boitel and June Aoki [青木 淳]; light and manipulation on stage: Kenzo Bernard; stage management: Hugo Frison.
with: Camille Boitel, Sève Bernard, June Aoki [青木 淳], and Sho [笙] player Tokiko Ihara [井原 季子].
production and touring: L'immédiat.

度々日本で制作・公演しているフランスのサーカス・アーティスト Camille Boitel の 来年の初演に向けて制作中の MA 『間』の 創作プロセスのプレゼンテーションというかトライアウト(試演)を観てきました。 試演といっても、それなりに作品風に纏めてくるのかと思いきや、 作品全体のプランや作品を構成する各スケッチの創作意図などの説明にもそれなりの時間を割き、 予想以上に「創作プロセスのプレゼンテーション」の色が濃いものでした。

といっても、個々のスケッチをとってみれば、へたなダンスのショーケース公演の短編作品以上の完成度があるものもありました。 何に着想して制作しているのか垣間見れたという興味深さもありましたが、 完成作では一場面となってしまいここの印象が薄くなりがちのものを切り出して見る事で、その場面でのアイデアや狙いがはっきり感じられるよう。 MA は「叶わぬ恋の物語」というテーマの作品で、 演じたスケッチは Boitel と Bernard が、うまくいかない男女を様々な形で演じていくというもの。 そのテーマもあってか、今までの作品よりもとっつきやすくわかりやすくなったように感じました。

以前から Jacques Tati との共通点を感じていたのですが [鑑賞メモ]、この試演はそういうコメディの色が強く感じられました。 作品全体としては床を順次崩壊させていくプランのようなのですが、 崩壊する装置を使ったアクロバティックなコメディという意味では、Buster Keaton とかも連想させられます。 うまくいかないスケッチの後には「だめだこりゃ」と言いたくなるというか。 詩的でロマンチックな皮を被っていますが、いわゆるサーカス芸というより、アクロバティックなスラップスティック・コメディに系譜付けできるような表現とも言えると 腑に落ちた試演でした。