2014年に Vitra Design Museum で始まった戦間期から活動するモダニズムのフィンランドの建築家 Alvar Aalto の国際巡回の回顧展です。 Aalto の回顧展は MoMA の国際巡回展を1999年にセゾン美術館で観ていますが [鑑賞メモ]、 その時の記憶もすっかり薄れてしまったので、見直す良い機会かと足を運びました。
Vitra Design Museum はPDF形式の写真付き出品リストを公開していて、大変にありがたいです。 しかし、保険上の価値 (Ins. value) まで載っているのには驚きです。 ちなみに、この展覧会はこの後、 名古屋市美術館 (2018/12/08-2019/02/03)、 東京ステーションギャラリー (2019/02/16-2019/04/14)、 青森県立美術館 (2019/04/27-2019/06/23) と巡回する予定となっています。
この展覧会でも大きくフィーチャーされていたのは、戦間期の極めてモダニズム的な建築、 Viipuri (現在ロシアの Выборг) の図書館 (1927-35) や Paimio のサナトリウム (1928-33)。 セゾン美術館では図書館が再現されていましたが、今回の展覧会ではサナトリウムの個室内が再現されていました。 Turk 市のプロジェクトでは、Sanomat 新聞社のビル (1928-30) よりも、 Turk Finnish City Theatre (トゥルク市立劇場) が入っていたという Southwestern Finland Agricultural Cooperative Building (南西フィンランド農業協同組合ビルディング) (1927-28) や、 その劇場で上演されたという Hagar Olsson: S.O.S. (1930) のポスターや舞台デザインデッサンなどの資料に惹かれました。
20年前に観た記憶が無いものでは、1939年の World's Exhibition Fair in New York, USA (ニューヨーク万国博覧会) の Finnish Pavillion (フィンランド館)。 写真からは伺えるのは巨大な Vase Savoy (雲形の花瓶) のような曲面の壁なのです。 小さな紙製の模型はありましたが、これはもっと詳しく見てみたかったものです。 そのパビリオンで上映されていたという Heikki Aho & Björn Soldan による映画 Suomi Kutsuu (1939) も上映されていたのですが、 オリジナルには Jean Sibelius の音楽が付いているのですが、展示空間の都合とは思いますが音無しで上映されていたのは残念でした。
多分に自分の戦間期モダニズムへの好みのせいかとは思いますが、 20年前の回顧展の時もそうでしたが、今回の展覧会でも、戦後のプロジェクトは琴線に触れるものがありませんでした。 また、最後にショールーム的な写真撮影可能な部屋を設けてあったのも、SNS時代の展覧会らしいと感じました。