ほとんど予備知識無く、正月に1本何か観ようということで観た National Theatre Live の1本。 演出の Simon Stone はオーストラリア出身ですが、近年は欧州で活動していて、 最近は Ivo van Hove の Toneelgroep Amsterdam で3作演出しているので、 Hedda Gabler [鑑賞メモ] のような スタイリッシュでフィジカルな演出を少々期待していました。 しかし、主役の Billie Piper のリアリズム的な演技もあってか、かなりストレートな演劇に感じられました。
スペイン内戦直前の1934年に書かれ初演された戯曲に基づくものですが、 舞台も現代のロンドンに置き換え、セリフも書き換え、不妊に悩む現代の夫婦の物語、 不妊治療に非協力的な仕事中毒気味の夫とすれ違い、匿名ながらブログに妊活を書く妻が追い詰められ、家庭が崩壊し、無理心中という悲劇的な結末になります。 この図式自体は若干ステロタイプかなと思いましたが、Billie Piper の熱演に見入ってしまいました。 ガラスかアクリルの透明な板で周囲を仕切られた長方形の舞台を四方から観客が囲むようになっていて、 観客がガラスケースの中の人を観察しているようにも見えるセッティングが、興味深く思いました。 ところで、話は頻繁に月日が飛ぶのですが、National Theatre Live の映像では字幕を挟んで編集していました。 実際の舞台ではどう転換していたのか、少々気になってしまいました。