アニュアルで開催されている文化庁芸術家在外研修の成果報告展。 定点観測という事で、今年も観てきました [去年の鑑賞メモ]。
最も印象に残ったのは 白木 麻子 の整然としたインスタレーション。 21世紀のインスタレーションはワーク・イン・プログレスのような未完を演出するような 雑然とした雰囲気を強調するインスタレーションが目立つわけですが、 それとは対照的で、むしろ20世紀半ばの謎解きがかったコンセプチャルなインスタレーションを思わせます。 作品が読み解けたという程ではありませんでしたが、そんな雰囲気が面白く感じられました。
他には、モロッコのラバトで撮影した赤いポピーの写真を次第に枯れるかのように床に配置した 松原 慈、 和田 的 のシンプルな造形の白磁や青白磁、 計算づくしでカオスを設計しているかのような 村山 悟郎 の「自己組織化する絵画」が印象に残りました。
日本出身ながらスイスを拠点を拠点に活動する美術作家 イケムラケイコ の1970年代後半からの活動を回顧する展覧会です。 暗いトーンでぼんやりボヤけた少女像を描いた油彩や、埴輪や土偶すら連想させられる造形のテラコッタの立体作品などで知っていた作家ですが、 思ったより多様な作風を持った作家だったと気づかされました。 しかし、大画面の山水画のような作風の作品よりも、ボヤけた少女の油彩から近年のアマゾン像へという対称的とすら感じる展開に興味を引かれました。