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Review: KAAT × 小野寺 修二 『WAITING FOR THE SIGNAL! 〔信号待ち!〕』 @ KAAT神奈川芸術劇場 大アトリウム (ダンス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2019/03/24
KAAT神奈川芸術劇場 アトリウム
2019/03/1y, 16:30-17:10.
演出: 小野寺 修二 (カンパニーデラシネラ)
出演: Nguyen Hoang Tung, 崎山 莉奈, 大庭 裕介, 藤田 桃子

2017年の 『WITHOUT SIGNAL! 〔信号がない!〕』 に続く KAAT制作による 小野寺 修二 とベトナムのダンサーとのコラボレーション第二弾です。 第一弾が楽しめたので [鑑賞メモ]、 この第二弾にも足を運んでみました。

といっても、第一弾にあったようなベトナムの印象スケッチのような要素は無くなり、 「待つ」という行為、仕草から着想しそこから緩く連想を広げたような9のスケッチ (「プロローグ」、「待つ男女」、「バイクに乗る男」、「彼の紹介」、「コマ送り」、「若い男女」、「ある提起」、「局面4」、「エピローグ」とそれぞれ題されていました) からなる作品でした。 会場のアトリウムは劇場のある建物の1階ロビーにあたる吹き抜け空間です。 スタジオやホールではない公共空間を使うということで、そんな空間の特徴を使うことを期待したのですが、 街中で待ち合わせするような状況は用いず、ドアとテーブル、椅子という小道具を用いて、むしろ小部屋の中という密室劇的な状況設定にしていました。

大庭 と 藤田 が 崎山 の両親という薄っすらとした設定はあるものの匿名的な男女2組によるマイム劇ということで、 公共空間で上演する必然性が感じられず、前半は少々物足りなく感じました。 しかし、ジャグリング用の黄色のグローボールを受け渡しするような場面から、 密室空間を4人の動きで揺らがせていくようになり、最後には密室の内外を反転させて終演。 このような展開はさすがです。 しかし、こういう作品であれば、小スタジオのような空間を使って作り込んだ照明や音響の演出込みで楽しみたかったものです。