TFJ's Sidewalk Cafe > Dustbin Of History >
Review: Jörg Müller / Noémi Boutin: Sarabande @ 座・高円寺1 (サーカス)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2019/07/21
座・高円寺1
2019/07/20, 13:00-14:00.
Jörg Müller (circassien), Noémi Boutin (violoncelliste), Hervé Frichet (création lumière).
Music: Jean-Sébastien Bach: Suite pour violoncelle n°1 en sol majeur, Suite pour violoncelle n°3 en do majeur, Suite pour violoncelle n°5 en do mineur.
Production Déléguée: Cie Frotter | Frapper.
Création 2014.

2017年に金属パイプをスイングさせるミニマルで静謐かつダイナミックなパフォーマンス Mobile観せてくれたサーカス・パフォーマー Jörg Müller が、 座・高円寺の夏の子供向けプログラム「世界を見よう!」に再び登場しました。

約1時間のパフォーマンスは曲に合わせた3部構成でした。 最初は中央で向きを変えつつ Noemi が演奏する周囲で、キャンドルを付けたスティックでのバランス芸で、 落とした照明の中で静かに動くキャンドルも美しい導入でした。 続いては、Noémi はサークルの脇に退いての伴奏で、 金属パイプを使った Mobile でみせたようなジャグリングを見せました。 ラストは、四隅からワイヤで水平に吊るしたストールが固定されたボードの上に Noémi を乗せてのパフォーマンスです。 最初はボードの下に Jörg が横になった上で演奏の反動でボードが静かに回転するままに、 そして Jörg が回転するボードを避けるよう上半身を起こし、 やがて立ち上がり静かにボードを揺らし始め、最後には大きくスイングさせて Jörg もボードに乗りました。 そして揺れながら音楽が終わり照明がフェードアウトしました。 静かな動きから少しずつダイナミックになるも、演奏は淡々として、ボードの上は静止しているよう。 ダイナミックなのに静けさの感覚を失わず、抑えたライティングもあって、動と静のコントラストも幻想的で美しいパフォーマンスでした。

Mobile も良かったですが、 Noémi Boutin による cello の生演奏が加わり、 それも、単なる伴奏では無いけれども、演奏の美しさを損なわないような関わり方を作り出して、 よりいっそう美しくなったパフォーマンスを味わうことができました。