公共劇場では夏休みに子供向けの企画をすることが多いのですが、これは、その現代美術館版とでもいうもの。 この手の企画は得てして子供が楽しむにはコンセプチャルに過ぎたりして、企画倒れになりがちです。 しかし、この展覧会は、子連れ家族で混雑していて、びっくり。 コンセプト倒れでなく、ほんとに、子供の遊び場になっていました。 家具で作ったクライミングウォール 開発 好明 『受験の壁』や、 おはじきのようにボタンを台座に乗せるように投げる 野村 和弘 『笑う祭壇』など、 子供に混じって楽しみました。 しかし、この展覧会に期待するものでもないですが、味わい深さといった点では物足りなさもありました。
MOTサテライトは、美術館の活動を立地している地域に拡大しての、地域の魅力を再発見する企画です。 コレクション展にある 鈴木 昭男 『道草のすすめ-「点音(おとだて)」and “no zo mi”』 (2018-2019) [鑑賞メモ] も良いですし、美術館を超えて展示されたアート作品を観て回ることで周囲の環境を再発見するような企画自体は悪くないとは思うのですが、 テーマが「地図」ということで、全体的に物語的。 そのような街歩きの楽しさであればアート作品にきっかけをもらわなくても、と思ってしまうところもありました。 そんな中では、ピンや金属片などを打ち付た板を指先で触って鑑賞する 光島 貴之 (鍼灸師としても活動する、視覚障害者とのこと) の作品には、 感覚を研ぎ澄ますような面白さを感じました。
リニューアル・オープン記念展コレクション展も第2期に入って、前回から展示にいくらか入れ替えがありました。 子供達の遊び場となった『あそびのじかん』の企画展示室から観客はほとんど流れてきておらず、 コレクション室は人も少なく落ち着いた雰囲気。 ビーズのような小さな陶土の粒を並べ積み上げて作った さかぎし よしおう の繊細な陶の作品や、 控えめな物音を立てながら静かに動く 毛利 悠子 のインスタレーション『I/O』 (2011-16) などを観つつ、 『あそびのじかん』の企画意図もわからないではないですが、 自分にとっては、こうして静かに作品を観ている方が良いなあ、と実感しました。