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Review: Louise Narmoni et Yoann Bourgeois: Les Grands Fantômes (ダンス / 映画 / streaming)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2020/04/12
Louise Narboni et Yoann Bourgeois
Les Grands Fantômes
Les Films Jack Fébus, 2018, 4K HD, 57min.
D’après « La Mécanique de l’histoire, une tentative d’approche d’un point de suspension »
Exposition vivante au Panthéon
Conception mise en scène et scénographie: Yoann Bourgeois.
Directeur: Louise Narboni.
Costumes: Sigolène Petey.
Interprètes:
Prologue: Yurié Tsugawa; Inertie: Elise Legros & Jean-Yves Phuong; Trajectoire: Sonia Delbost-Henry; Equilibre: Estelle Clément-Béalem & Raphaël Defour; Energie: Yoann Bourgeois, Damien Droin, Emilien Janneteau, Lucas Struna.
Musiques: Franz Schubert.
Texts: Le poète l'a dit de Charles Péguy (extrait), Les rêveries du promeneur solitaire de Jean-Jacques Rousseau (extrait), Proses philosophiques, Promontorium somnii de Victor Hugo (extrait).
Commissioned by Centre des monuments nationaux for Monuments en mouvement, in collaboration with the Théâtre de la Ville-Paris.
Production CCN2 - Centre choréographique national de Grenoble.
Vimeo URL: https://vimeo.com/399387060

CCN2 - Centre Choreographique National de Grenoble の芸術監督を務める Yoann Bourgeois が 2017年に第三回 Monuments en mouvement (動くモニュメント) フェスティバルのために委嘱されたコンテンポラリー・ダンス/サーカスの作品を映像作品化したものです。 COVID-19 感染爆発で公演できない劇場が作品をストリーミングで公開することが増えていますが、 CCN2 - Centre Choreographique National de Grenoble がこの映像作品を Vimeo で公開しています。 自分が Yoann Bourgeois を知ったきっかけは、この作品の中の Energie の部分を撮った約3分の動画 [鑑賞メモ] でしたが、 やっと作品の全容を知ることができました。

会場はフランス・パリの Panthéon。 そこで繰り広げられる装置に着想したかのような静かなサーカスとでもいうパフォーマンスを5つと、 最後に5つのパフォーマンスを一度に俯瞰的に見せるというフィナーレからなり、 それらの間を Panthéon の中を移動するもしくは嘆く彫像に紛れるようにいる人にナレーションと被せた映像で繋いだ作品です。 重厚な雰囲気の Panthéon の空間の中、Panthéon の像の同じ大理石のようなものトーンの衣装で、演技に使うステージや装置も素木かモノトーン。 観客を入れない状態で撮影し、Schubert のピアノ曲と落ち着いたトーンのナレーションで、 横からの静的な視点で、そして、最後はドローンを使っていると思しきゆっくり動く見下ろす視点からの映像を使い、淡々と映像化しています。 ナレーションされるフランス語のテキストはほとんど理解できず、コンセプトを十分に捉えかねましたが、 動きの面白さ、空間を含めた美しさだけでも、約1時間楽しむことが出来ました。

最初の Prologue は roly-poly、いわゆる人間おきあがりこぼし。 サーカスや大道芸でよく見られるものですが [関連する鑑賞メモ]、 奇抜ではなくシンプルな衣装とメイクでエレガントに静かに踊ります。 続く Inertie は回転する正方形のステージの上で男女1組のパフォーマンス。 高速回転による遠心力に抗う姿勢に互いを希求するジェスチャーを重ね、緩い回転による移動ですれ違いを演出するなど、 回転による動きの制約を逆に心情の表現に使うよう。 3つめの Trajectoire: は、balancing pendulum、いわゆるバランス振り子でしょうか。 回転軸でバランスするようウェイトとパフォーマをシャフトでつなぎ、 ゆっくりと揺れる振り子の動きをするシャフトの先で優雅に静かに踊る様は無重力空間に舞っているよう。 4つ目の Equilibre は、中央の可動支点のみ支えた正方形のステージの上で、 それぞれチェアを持った男女1組が、ステージのバランスをとりながら中央に置かれたテーブルに着こうとするパフォーマンス。 お互いのそろりそろりと慎重でぎこちない動きもユーモラスで、そして、なんとかテーブルに着いて椅子に座って、微笑み合う様子で終わる所に、 まるでぎこちないカップルの微笑ましいやり取りのメタファーにも感じられました。 ラストの Energie は回転するリング状に作られた階段と中央のトランポリンを使った男性4人のパフォーマンスです。 回転によって階段が無限に続くように感じられ、内側に落ちても何も無かったように戻ってくる様も超現実的に感じられます。

通して観て特に印象に残ったのは、装置やその動きによるパフォーマーの動きの制約やそれに反応する動きをむしろ生かして、 そこにシンプルに動きの面白さを見せるだけでなく、さらに絶妙にニュアンスを加えてロマンチックな物語やキャラクタの内面をうっすらと浮かび上がらせすらする演出でした。 以前から観ていた Energie だけではなく、 他のパートも魅力的な作品だったと (むしろ、自分の好みは PrologueTrajectoire) と気づくことが出来たのも、 通して観ての収穫でした。

Les Grands Fantômes - Louise Narboni et Yoann Bourgeois from CCN2 Grenoble on Vimeo.