ベルリンの州立歌劇場 Staatsoper Unter den Linden が COVID-19 対策で自己隔離している人々のため 日替わりでストリーミングをしています。 4月4日に現代美術作家 Ólafur Elíasson [鑑賞メモ] が舞台装置、照明、衣装を手がけたプロダクションがストリーミングされました。 作品は、フランスの作曲家 Jean-Philippe Remeau による神話時代のギリシャを舞台とした18世紀 Baroque opera で、 EuroArts からDVD化された映像を使っていました。
さすが Ólafur Elíasson というライティングでしたが、変化はあるのだけど緩急に欠けたようにも感じました。 フォトジェニックで、トレイラーならスタイリッシュに編集できそうですが、2時間半という時間を扱い損ねたよう。 そう感じてしまったのは、元の音楽の問題、もしくは、演出の問題かも知れません。 振付家 Aletta Collins による演出ということで、ダンスの場面も多用されていました。 バレエ的ではなく、ダイナミックというのでもなく、全身タイツ姿で地を這うようなうねうねした動きが印象に残るものでした。 物語を説明するような動きではなく、むしろ光の演出と合わせて抽象的に視覚化していました。
歌手に踊らせるというほどのことはほとんどしませんでしたが、 そんな中で、おそらく La grande prêtresse de Diane と une matelote の役 (Sarah Aristidou) で コーラスやダンサーの中に紛れていてふっとスポット浴びて踊りながら歌ったりした所が、 演出を含めて好みでした。
Baroque opera を聴くのは初めてでしたが、 今まで聴いてきた19世紀以降の opera と異なり音が新鮮に聴こえました。 全編 harpsichord が活躍しているのも Baroque music らしいと思いましたが、 opera の中で聴く Baroque musette (bagpipe の一種) の音が特に耳に残りました。