スウェーデン第二の都市イェーテボリ (Göteborg) の歌劇場もCOVID-19隔離向けのストリーミングを行なっています。 この歌劇場のレジデントの舞踊団 GöteborgsOperans Danskompani [Gothenburg opera’s dance company] は、 コンテンポラリーダンスを主なレパートリーとしていることで知られます。 そんなレパートリーの中から Sidi Larbi Cherkaoui [関連する鑑賞メモ] 振付の作品がかかったので、観てみました。
Cherkaoui が GöteborgsOperans Danskompani に振付した Noetic, Icon に続く 三部作の最終作です。前二作は観ておらず、三作通してのコンセプトは掴めていません。
舞台は、図書館と美術ギャラリーを無彩色にしたような空間。これが「ストイック」を象徴しているでしょうか。 「ストイック」と対比されるのが依存症で、セックス、タバコ、酒、SNS、ドラッグなどがダンスで表現されつつ、それがダンスをぶった切るような演説的な語りで異化されるような演出です。 そんな語りもあってか、舞台の上で「ストイック」とは何かを語り合うかのように感じたダンス作品でした。 ちょっと観念的で、Cherkaoui の得意とする物に着想する動きがほとんど感じられず、物足りなく感じました。
動きにはバレエ的なイデオムはほとんど見られず、冒頭には vogueing に着想したと思われる群舞もありました。 使われる音楽も、モロッコ古典音楽を主軸に、アフリカ (コンゴ)、アジア (日本)、キリスト教の聖歌など、多文化を意識したものになっていました。 しかし、いろいろ並べ過ぎて、逆に印象薄めてしまったようにも感じました。
トレイラーやスチルを観ている限りでは、GöteborgsOperans Danskompani の Cherkaoui 三部作の中では Noetic [Vimeo trailer] のシンプルかつ物を使った動きなどがとても好みだったのですが、 気づいた時にはストリーミングが終わっていて、見逃してしまいました。 Icon [Vimeo trailer] も美術が Antony Gormley ということで気になります。 公演で観るのは難しいにせよ、映像で三部作を観てみたいものです。