スウェーデン第二の都市イェーテボリ (Göteborg) の歌劇場 GöteborgsOperan のCOVID-19隔離向けのストリーミングから、 Stoic [鑑賞メモ] に続いて公開された Sidi Larbi Cherkaoui 振付作品を観ました。
Cherkaoui が GöteborgsOperans Danskompani に振付した Noetic に続く三部作の第二作です。 最終作が Stoic となります。
現代美術の文脈で知られる美術作家 Antony Gormley による3.5トンの粘土を使った美術に惹かれて観て観た所もあったのですが、 踊りながら粘土の形を変えていくため、造形として Gormley の作家性が出た造形が楽しめるというわけではありませんでした。 その一方で、粘土は可塑的でダンサーの動きへの制約はほとんど無く、物に発想する動きが楽しめたわけでもありませんでした。
そんなこともあってか、むしろ音楽に惹かれた作品でした。 Anna Sato (里アンナ) の奄美島唄と Patrizia Bovi (ex-Quartetto vocale di Giovanna Marini) のイタリア民謡 (中部から南部、シチリアにかけての伝統的な歌) やヨーロッパ中世の歌曲が、 付かず離れず、そして、最後に重なり合います。 その歌声はその地域性を強く感じさせるというより、むしろ、無国籍な歌の響きのようでした。
作品のテーマは宗教指導者や政治家、ポップスターやロールモデルなどの象徴的な人物像としての icon とのこと。 粘土で冠や面のようなものを作って被ったり、半ば横臥するように座った女性ダンサーを粘土で覆ったり、というのはテーマを意識したものでしょうか。 前半の衣装は、 キモノガウンや袴に着想したような服が目立つ彩度を抑えたジャポネスクで、 動きも少々東洋的なものを意識したものに感じられました。 中盤に衣装を変え、明度彩度の高い単色のシャツとパンツになりました。 ここでは、ポップな曲に合わせての群舞も見せました。 ラストは肌色のスポーツ下着のような衣装で、粘土の合間を這い回るような動きを多く見られました。
これで、GöteborgsOperans Danskompani の Cherkaoui 三部作のうち、2作を観ることができました。 ここまで来たら、残す Noetic もぜひ観たいものです。